日本の中国人社会―司法通訳だけが知っている

日本には中国社会はいくつか存在する。有名どころでいえば横浜中華街は、戦後間もない時から中国社会が栄え、日本を代表する中華街に昇華していった。もう一つ、新しいチャイナタウンと言えば、池袋駅北口付近がある「池袋チャイナタウン」がある。それに限らずとも、日本には外国人労働者がいるが、その多くは中国人である。そのことからありとあらゆるところで中国人社会がいるのだという。その中国人社会はどのようにして栄え、そして深化するのか、そしてその目的はいったい何なのか、本書はそのことについて取り上げている。

第一章「「どこまで深化するのか」~ハイリスク・ハイリターン(命よりカネ)。来日中国人の犯罪現場」
サブタイトルにもある通り「司法通訳」という仕事がある。この仕事は中国人で行われ、外国人犯罪者がその通訳を通じて警察との取り調べに応じたり、裁判のやり取りをしたりしている。しかしその通訳をやっている中で様々な裏社会の姿に通じるところがあり、特に中国人の司法通訳は中国の本当の闇や裏にも精通している人も少なくないという。その司法通訳の立場から、中国人がなぜ来日して犯罪を起こすのか、その理由について取り上げている。

第二章「「弱い中国人の味方になってやる」~働くほど貧しい(プア・ワーカー)・・・のか。中国人研修・実習の現場」
中国人が日本で労働をする方は少なくない。その中国人労働者になるために堅守をする必要があるのだが、その研修現場を追っているだけではなく、中国人の不法就労者のリアルについても取り上げている。

第三章「「日本で稼いで豊かになりたいだけ」~格差だけではない落差の現場~」
そもそも犯罪にしても労働にしてもなぜ「日本」なのか、理由は本章のタイトルにもある通り「稼いで豊かになりたい」という単純なものであるという。その背景には「格差」問題があるのだが、「格差」という言葉では収まらないほど、根が深いものがあるといい、それについても開設を行っている。

日本と中国は隣国であるが、政治的な対立は存在する。しかしその裏で中国人が労働などのために日本に渡る人もいれば、昨年流行語となった「爆買い」のために日本へと渡る人もいる。その中国人が日本にわたることによってどのような影響を与えているのか、本章はそのことを司法通訳の立場から見てきているわけだが、そこには「闇」や「裏」が存在していると言っても過言ではない。