税理士ツチヤの相続事件簿

サンライズパブリッシング様より献本御礼。
日本の人口が減少し続けてきているのだが、その中で亡くなっていく方も出てきている。その亡くなった後のことで出てくるのが「相続」。その相続について一歩間違えると「骨肉の争い」が起こり、裁判沙汰になることだってある。さらに言うと相続税もかかってしまい、死んだ後、裁判と税でゴタゴタになるということも考えられる。ではどうしたらよいのか、本書では5つの事件をもとに、相続のリスクや考え方、正しいやり方を伝授している。

第1の事件「オネエタレントの相続」
「相続をする」ということはその人が亡くなってから行われるのだが、基本的には民法を始めとした法律によって配偶者や子供、あるいは親などに分配される。しかしその相続に関しては遺言書でもって、亡くなる人本人の遺志を伝えることによって別の人に譲ったり、寄付したりすることができるようになる。しかし遺言書はたった一つのミスをしたら無効になってしまう。それを避けるために公証人でもって「公正証書遺言」、または「秘密証書遺言」をつくることによって、遺言書としての効力をつけることができる。この事件の場合は「公正証書遺言」を基軸にしたエピソードを取り上げている。

第2の事件「倒産社長の最後のラブレター」
この事件では「相続放棄」や「保険金」が基軸になる。特に前者の場合は相続の中でも「債務」に当たるものを引き継がない意思を示すことができるのだが、その申し立ては裁判で申述する必要があるのだという。また生命保険の受取についても注意が必要で、やり方を間違ってしまうと相続税でかなりの額が取られてしまう。本章でもどのようにして受け取ったらよいのかを解説している。

第3の事件「磯野波平の憂鬱」
相続をする財産はいろいろある。亡くなった人の預貯金はもちろんのこと、土地・建物・自家用車といった固定資産、さらには株式などの有価証券、さらに骨董品や美術品などもある。ほかにも保険金や、現に働いている人であれば「退職金」もまた相続の財産としてあるが、これは「みなし相続財産」と扱われる。その財産をどのように評価し、配分していくのか、この事件では「サザエさん」でおなじみの磯野家を引き合いに出している。あくまで邪推であるが、この事件の参考になったのは「波平は「相続」であわてない! 磯野家に学ぶ33ヶ条」「磯野家の相続」ではなかろうか。

第4の事件「借金は相続税対策にはならない」
相続税が高いから、その対策に奔走する人もいる。その中には借金をしてまで財産を作るというような人もいる。しかしそれは事件のタイトルにもある通り相続税対策にならないのだという。本章ではその相続税対策としてアパートに手を出した人の顛末を描いている。

第5の事件「タワーマンション節税の光と影」
タワーマンションでもって節税をする方もいるそうだが、実際に私自身は節税目的抜きにしてタワーマンションに住んでみたいという思いがある。とはいっても東京ではなく、あくまで故郷である北海道にもタワーマンションなるものが札幌にもいくつかある。東京など首都圏とくらべて家賃が手ごろなところも多いのでゆくゆくはそこに引っ越そうとも考えている。
私の将来の妄想はここまでにしておいて、本章ではタワーマンションを節税のために購入することによるメリットとリスク、さらには遺産分割協議などの基軸にしたストーリーを描いている。

相続は決して他人事ではない。もしもあなたが本書に出てくる話のようなことになったのであれば、本書はもちろんのこと、相続のプロに相談をしてみると良い。その予行演習として本書でしっかりと学び、それでもって来るべき相続に向けての対策を進めておくと良い。