上方スピリッツ

昨年7月にお笑い芸人として史上初となるピースの又吉直樹が「火花」でもって芥川賞を受賞した。その「火花」の内容はざっくりと言うとお笑いを基軸にしている作品である。

その「お笑い」を基軸にした作品はいくつも存在しており、先日取り上げた「トマト・ケチャップ・ス」という本でもお笑いを基軸にしているのだが、本書もまたお笑いの中でも「漫才」、それも大阪など関西を舞台にした「上方漫才」としている。

その上方漫才でもって芸を磨き、漫才を良くするために成長していくというストーリーであるが、その中で「漫才コロシアム」と呼ばれる漫才の試合をしていくものだが、その物語の主人公は幾度となく敗退する。敗退を重ねていくことによって自信を無くし、さらには主舞台である演芸場も閉鎖してしまうという憂き目に遭ってしまう。

しかし、それでも主人公たちの漫才をつくるべく、必死になってネタをつくり、漫才をする。その姿が時には笑いを、時には感動を与える、その姿を本書は描いている。