励ます地方自治―依存・監視型の市民像を超えて


地方自治は場所によって悲鳴を上げ、財政破綻をしてしまったところも存在する。その地方自治をいかに活性化していくか、それは今まであった「監視」をするというところから、「励ます」というところにフォーカスを当てて、どのように地方自治を展開したらよいのか、そのことについて提言をしている。

Ⅰ.「監視の地方自治」
以前慶応義塾大学教授のジョン・キム氏の処女作である「逆パノプティコン社会の到来」を思い出したのだが、刑務所などで利用される「パノプティコン」とは逆に、周りが、中心を監視するというように、地方自治は市民によって監視されるシステムになっている。その監視をしたことによる審判は選挙、住民投票、あるいはリコールといったことになって返ってくる。もちろん監視することは政治に対して不正がないか確認する、あるいは正当に政治を行っているかという抑止力につながっていくのだが、果たしてそれが市民にとって、地方自治にとって幸せなのか、その疑問についても呈している。

Ⅱ.「励ます地方自治の意義」
「励ます」のモデルケースとなったのは架空のアニメであるが、映画「サマーウォーズ」がある。この映画の舞台は長野県の信州上田と言うところにある。その映画では暴走した人工知能を食い止めるために、消防・警察など地方自治にかかわること全部を駆使して、励ますと言いうようなシーンがある。それが「励ます」地方自治につながるのではないか、と著者は考えたという。
そもそもⅠ.にて述べた「監視する」地方自治は、

「国に対するシステムを地方に持ち込んだものである(二重の信託論)」(p.22より)

とある。その監視をするだけでは地方自治の活性化につながらない。そこで「励ます」地方自治では、単純に「頑張れ」と言うような励ましではなく、NPOや自治会、町内会でもって市民と協働をするようなシステム、あるいは市民が自立するようなシステムをつくり、互いに地方のために動けるような仕組みをつくるところにあるという。

Ⅲ.「励ます地方自治の展開」
では具体的にどのような「励ます」地方自治を展開していけば良いのか、そのことについて「財務」「法務」「人事」など地方自治にある様々な分野から提言している。

国であれば、監視することは必要であるのだが、果たして地方も同じようにしたらよいのかと言うと必ずしもそうではない。地方であればあるほど、直接的に政治にかかわれる要素も多くなり、一人一人が地方を活性化していくためにどうしたらよいのかを考える必要がある。もちろん本書のように「励ます」地方自治は行った方が良いのだが、そのためには市民一人ひとりの意識改革がどうしても必要になってくる。一人一人が地方の政治に携わっていくという意識、そしてそのために何をしたら良いのかということを考え、行動する必要があるのだが、関心事にしていくためには、どうしても時間がかかってしまうのが実情と言える。

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