あ、「やりがい」とかいらないんで、とりあえず残業代ください。

タイトルを見るに身も蓋もない言葉であるが、実際にそういった考え、あるいはそれを口に出す人は少なくない。先日も仕事ややりがいに関するコラムがあるなど、話題を呼んだ。

かつては「24時間働けますか」という名のもとにモーレツに働き、やりがいを得ることができた。しかし今となってはやりがいどころか、搾取されているという意見を持つ労働者も少なくない。本書は経営者・従業員の両方を経験した著者が日本における労働の矛盾を突いている。

第1章「あ、今日は用事があるんで定時に失礼します。―ここがヘンだよ、日本人の働き方」
日本における労働基本法は残業を原則禁止にしたり、有給休暇があったりしているのだが、実際のところ残業はごく当たり前のごとくあり、周囲の空気に流されてつい残業を行うというような人も少なくないという。そのこともあって残業が常態化し、法律違反が当たり前のようになってしまっている。また有給休暇取れないような事態も残業と同様に起こっている。

第2章「いえ、それは僕の仕事じゃないんで。―日本のガラパゴス労働を支える「社畜」」
今から10年近く前から使われ、今となっては蔑称として使われるようになった「社畜」。なぜそのような考え方が生まれたのかと言うと、戦後間もない時からあった「終身雇用制」によって、社畜になるようにできていたという。本章はその社畜になるまでのプロセス、そして社畜の種類について取り上げている。

第3章「はい、将来の夢は毎日ゴロゴロ寝て暮らすことです!―社畜が生まれるメカニズム」
なぜ社畜が生まれるのか、それは教育からすでに作られているという。なぜそうなってしまっているのか、本章では学校教育から就職活動、そして入社後の新人教育に至るまでのプロセスの中でいかに社畜ができるのかについて取り上げている。

第4章「えー、「従業員目線」で考えますと…―脱社畜のための8カ条」
今となっては社畜になってしまっては何のメリットもないことはわかったのだが、どのようにして社畜から脱したらよいのか、そのことを8カ条という形で列挙している。

会社員である以上は会社につくすべきだが、だからと言って一生安泰かと言われるとそうではない。もちろんめまぐるしい変化があり、それに振り回され、倒産する会社も少なくない。しかしあなたにはあなたの人生がある。その人生をフイにしないためにどうしたら良いか、それを考えるきっかけになるのが本書といえる。