知られざる国民病「ロコモ症候群」

本書で取り上げる病気、それは「ロコモ症候群」と呼ばれる聞きなれない病気である。しかし本書のタイトルにもあるように4700万人もの人々がそのような病気にかかっているという。正式には「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」と呼ばれており、筋肉・骨・関節に関するものである。ではその「ロコモ症候群」とはどのような病気なのか、そしてその対策には何があるのか、そのことについて取り上げているのが本書である。

第一章「ロコモはどうして怖いのか」
「ロコモ症候群」は筋肉や関節、骨の衰えからくる病気であり、あまり知られていない生活習慣病の起因となる症候群の一つであるのだが、メディアではあまり取り上げられていない。しかし健康長寿を目指すのであれば、この「ロコモ症候群」の対策が必要になってくる。その一例として2012年に逝去した女優の森光子氏も生涯女優として生き続けた、その秘訣としてスクワットを日課としていたことはあまりにも有名な話である。しかしそういった対策をできる人は少なく、知らず知らずのうちに「ロコモ症候群」にかかってしまい、骨や筋肉の弱りに苛まれる晩年を送ることとなる。

第二章「ロコモに克つために筋肉を知る」
「ロコモ症候群」は中高年層にかかる病気のイメージが持たれるが、実は若年層も含めたどの年代にもかかる病気である。昭和の大横綱の一人である千代の富士こと、九重親方は生まれつき脱臼癖があり、現役でも何度も脱臼をすることがあったという。それを対処するために筋肉量を増やし、しなやかな筋肉質な身体であるいわゆる「筋肉の鎧」を作り、大横綱のきっかけをつくった。その話をもとに本章では筋肉のつくりと衰え方、そして対策としての鍛え方を取り上げている。

第三章「脱ロコモで健康長寿になる」
最初にも取り上げた通り、健康長寿となるためには「脱ロコモ」は必要不可欠である。ここ最近は少子高齢化、さらには長寿化に伴い、健康長寿になることの重要性が叫ばれている。しかし単純に運動をしてばかりでは健康長寿になるわけではない。その理由としてボディビルダーと長寿の関連性を指摘している。

第四章「運動指導研究家に聞く「長続きするトレーニングの秘訣」」
運動指導を長らく研究し、自身も長らくパーソナルトレーナーを行ってきた大塚聡氏との対談を通じて、「長生きするトレーニング」を行う方法について取り上げている。

第五章「自宅でできる簡単ロコトレメニュー9」
本章では「脱ロコモ」をするためのトレーニングの方法を9つ紹介されている。一つ一つ見てみると、高齢者の方々にもできるほど簡単にできるトレーニングであり、手順や解説に気を付けて行い続けることによって筋肉などの衰えを防ぐことができる。

「ロコモ症候群」は本書に出会うまで知らなかった。もっとも私自身も筋トレやウォーキングをしたことがあるのだが、それでも鍛えられていない部分があり、その所の衰えが顕著になり、痛みを負ってしまう。私自身も筋力の衰えがわかり始めているのだが、それをどのように対策したら良いのかわからない状態だった。本書はそういった方々のために対策本としてうってつけである。