20歳からの社会科

社会科の授業と言うと小中学校の授業を連想してしまう。高校以降になると「現代社会」や「日本史」「世界史」など多岐にわたり、「社会科」と言うような科目が無くなるからである。しかし「社会科」はこれからの社会を見据え、変えて行くために重要な要素であるために、本書の著者たちがこれからの日本を担う20歳の方々のために、今の日本の現状と対策をわかりやすく解説している。

第1章「高齢者の意見が通りやすい国」
今の日本は「少子高齢化」「超高齢社会」と呼ばれているだけあり、そのような宿命にあるのかと思ってしまうのだが、「宿命」と一括りにしてしまっては元も子もない。なぜ日本は高齢者の意見が通りやすくなっているのか、そして若者が損をしてしまうのか、それを解消するためにはどうしたら良いのか、そのことを解説している。

第2章「どうすれば若者が社会を動かせるのか」
今社会を動かしているのは誰なのか、日本人全体ではなく、ごく一部の人々である。その一部には、中高年がほとんどであり、若者が社会を動かすようなことはほとんどない。日本はそれが顕著であり、それに対して海外ではデモなどで社会を動かすなどをしているといいう。日本の若者が民主主義の根幹をなすためにはどうしたら良いか、巻き込むことも含めて議論をしている。

第3章「今の若者が担う外交で日本は生き残れるか」
外交と言うと国、それも政府が行われるイメージなのだが、その外交は戦後の歴史の中でどのように行ってきたのか、そして戦後の安全保障はどのような変遷をたどっていったのか、それをもとにこれから日本が生き残るための外交を行っていけば良いのかを解説している。

第4章「年金や医療費を誰が支えるのか」
おそらく近々の課題として大きなもので、「年金」や「医療費」が挙げられる。その中でも日本の借金、公的年金、医療費などの資金の面、そしてそれに伴う制度維持はどうなのか、そのことについて取り上げている。

第5章「人が減り、教育に熱心でなくなった国」
今でこそ「脱ゆとり」と呼ばれるようになったのだが、少し前までは授業量を減らすようなことがあった。そのこともあって「教育」そのものに熱心さが無くなってきた。もっと言うと家庭の中でやる家族教育もだんだんと行われなくなったという。そのような状況をどのようにして打開するか、そのことについて取り上げている。

第6章「未来の地球に何を贈るのか」
地球の未来のために地球環境をどのようにすべきか、現在の地球環境の在り方とともに説明している。

これから社会、そして日本のために私たちはどうしたら良いか、それは政治・経済をはじめありとあらゆる角度から課題があり、それらを解決していく必要がある。「今の日本の現状」と言っても一言では語ることができない。知るためには日々情報をつかみ取り、取捨選択し、そして解決するために考えていくことが必要不可欠である。自分のことも大事出るが、そのために国のためにどうしたら良いか、それを考えるきっかけを本書は投げかけている。