政治をみる眼 24の経験則

毎日のように政治に関するニュースが取り上げられているのだが、そこから見える政治はほんの一部分でしかない。その見えない大部分はどこにあるのか、そこには本書がある。政治はどのようにして形成されていくのか、そしてその政治で必要なものは何なのか、長年政治の現場を取材し続けてきた著者が定義している。

第一章「政治は数である」
「数」は言うまでもなく党の国会議員数のこともあるのだが、ほかにもテレビ・新聞各社などが行っている「支持率」などもまた政治を行っていくうえでかかわってくる「数」と言える(ただし絶対的な存在ではないが)。

第二章「政治は権力闘争である」
政治と言うと必ずと言ってもいいほど権力が存在し、それを巡って闘争が行われる。良くあるのが与野党の権力闘争なのだが、党内派閥の権力闘争も存在する。特にそれが顕著に表れていたのが1955年から長らくあった「55年体制」である。本章ではそれについてあまり言及はないものの、55年体制から受け継がれた権力闘争が様々な政治家をピックアップしながら取り上げている。

第三章「政治は言葉である」
政治的な発言をする際、メディアにて大いに取り上げられる。それが「失言」と取り上げられるようなものもあり、それが失脚の原因にもなったことは幾度となくあった。しかも最近ではテレビやインターネットを通じて大いに取り上げられていっている現状も併せて取り上げられている。

第四章「政治は合意形成である」
政治は「妥協の産物」とも言える。党内・党外関わらず、様々な議論が交わされるのだが、その裏では、様々な打ち合わせなどが行われ、すり合わせなども行われる。そういったことを繰り返すことによって合意形成を築くことができるようになる。おそらくそういった合意形成はメディアではそれほど取り上げられないのだが、本章ではそれを余すところなく伝えている。

第五章「政治は立地である」
政治における「立地」とはなにか、立地と言うよりも「立ち位置」といった方が良いのかもしれない。その立ち位置はどのように変わっていくのか、本章では吉田茂、芦田均、池田勇人、中曽根康弘といった歴代首相の立ち位置とともに取り上げている。

第六章「政治は風まかせである」
「風」と言うと非科学的なように思えるのだが、政治にはどうしても「風」がついて回る。時には「嵐」と呼ばれるような事象もあり、政党や派閥の名前にも「風」「嵐」といった単語を使うところもある。もちろん風を変えることもまた政治家の役割の一つであるのだが、その風に身を任せることもある。その政治と風の関係について「おたかさんブーム」や「小泉旋風」といったものを中心に考察を行っている。

第七章「政治は平等追求の歴史である」
日本国憲法には「基本的平等」が担保されている。しかし日本国憲法施行以前からずっと政治の世界では「平等」を追及されてきた。いつ頃なのかと言うと本章にて取り上げられているのが1900年頃、ちょうど日本における立法や行政が築き始めたころの話である。

第八章「政治は情報である」
政治の世界では数や立ち位置、風もあるのだが、ほかにも「情報」が必要な要素である。その情報をどのように受け取り、使っていくのか、そのことについて取り上げている。

冒頭にも書いたのだが、長年政治の現場にいたからでこそ気づくことができる点も多数ある。もちろん本書では取り上げ切れていない部分もあるのだが、全く知らない方に向けて24個に大分して取り上げている。もしもあなたが政治によく知られていない所があれば本書でもって少しでも知ることができる一冊と言える。