実践版 三国志 ― 曹操・劉備・孫権、諸葛孔明……最強の人生戦略書に学ぶ

著者の鈴木様より献本御礼。
中国大陸の歴史は長く、その長い歴史の中でも様々な古典の名著が生まれた。ビジネスにも通用するような論語、さらには著者の前著でも取り上げられた「孫子」もある。また歴史的な伝記も「項羽と劉邦」もあれば、本書で取り上げる「三国志」は今でも知られている歴史的伝記として有名である。

その「三国志」には三国の戦いの中に生まれたロマンもあるのだが、本書は少し角度を変えてビジネスの観点から三国志の人物・戦争が何を意味しているのかを紐解いている。

第一章「乱世とは過去の権威が、崩れていく時代」
世界の歴史を紐解くと「乱世」と呼ばれる時代は数多く存在する。この中国大陸の歴史を紐解いてみても、「乱世」と呼ばれる時代は数多く存在しており、本書で取り上げている「三国志」もその一つである。その「乱世」はどのように定義しているのか、本書は三国に分割した要因、そして劉備・孫権・曹操の台頭について取り上げている。

第二章「三国志、一瞬の輝きで消えた人の「失敗の本質」」
この三国志に登場する人物は数多く存在するのだが、その多くは本章のタイトルにある通り一瞬出てきて消えてしまった人物である。その中でも本章でピックアップしているのが袁紹・袁術といった反董卓連合の人物たちがある。

第三章「なぜ、劉備はわらじ売りから皇帝になれたのか」
劉備(玄徳)と言うと、蜀国の皇帝で、仁徳でもって様々な有能な人物を部下にしたこと、そして張飛・関羽との「桃園の誓い」を交わしたことで有名である。しかし皇帝になるまではわらじ売りだった。そのわらじ売りだった時代からどのようにして皇帝にまで駆け上がっていったのか、その要因として周囲を引き付ける仁徳、さらには人心掌握が長けていたことがある。

第四章「呉の孫権、家業を繁栄させた3代目の若頭」
三国志を知る方であれば孫権が「3代目」ということはよくわかる。ちなみに初代は孫権の父である孫堅、2代目は長兄である孫策である。その2代の遺志を受け継ぎ、呉国を繁栄させた要因、前章で取り上げた劉備は仁徳と人心掌握だった一方で、孫堅の場合は「人使い」に長けていたという。その人使いにしても適材適所だけではなく、能力を引き出すこともまた行っていたという。

第五章「曹操を選ばなかった諸葛孔明の狙いとは」
諸葛孔明と言えば劉備が三顧の礼でもって蜀国の軍師となった人物として知られる。さらに劉備の死後、蜀国の最後の戦争の陣頭指揮を執った人物としても有名である。その諸葛孔明は三顧の礼を受ける前、曹操の陣営につく機会があった。しかし諸葛孔明はつかなかったのだが、それはいったいなぜなのかを取り上げている。

第六章「すべての諸葛一族を滅ぼした司馬氏」
三国志も末期に入ると魏国で司馬懿が台頭してきた。その後司馬懿とその子供たちが蜀・呉国を滅ぼし、三国に分割された中国大陸が統一、そして漢国が建国され、漢王朝になった。もちろん司馬一族ばかりではなく曹一族、孫一族、そして本章でも取り上げている諸葛一族とで後継者をつくったのだが、その中でも司馬一族はどのようにして後継し、そして繁栄をもたらしたのかをピックアップしている。

激動の時代となり、今もなお語り継がれる三国時代。すべては「三国志」でもって伝えられてきたのだが、そこにはビジネスでも通用するようなヒントがたくさん詰まっている。ビジネスはいつも「乱世」と呼ばれる時代である。だからでこそ激動の時代の中にヒントがあるということを本書でもって知ることができる。