ふしぎなキリスト教

宗教人口を表すと、キリスト教が世界で最も多く信仰されている宗教と言える。もちろんキリスト教の中には「カトリック」「プロテスタント」「イギリス清教」など様々な宗派が存在するため、一枚岩ではない。その一枚岩ではないキリスト教は、宗派の一枚岩もあれば、キリスト教の成り立ちや考え方も一枚岩ではない。その「一枚岩ではない」こともまた本書のタイトルにある「ふしぎ」な部分がある。その「ふしぎ」とは一体何か、そのことを取り上げている。

第1部「一神教を理解する―起源としてのユダヤ教」
元々キリスト教はユダヤ教から分派してつくられた。聖典もユダヤ教のバイブルである「旧約聖書」と、キリスト教になる際新たにつくられた「新約聖書」がある。もちろん両方の宗教とも一人の絶対神が存在している一神教であるが、その2つの宗教で大きく異なっている点が存在する。それは一体何か、そしてユダヤ教からなぜキリスト教が生まれたのか、キリスト教にて存在する「原罪」とは何か、そのことについて取り上げている。

第2部「イエス・キリストとは何か」
そのキリスト教を誕生したのが「イエス」と呼ばれる人物であった。そのイエスがもたらした奇蹟がキリスト教で語られる根本となっていったのだが、そもそもその「奇蹟」はどのようにして起こったのか、そしてイエスがゴルゴダの丘で処刑された罪は何だったのか、イエス・キリストの存在を徹底的に追及している。

第3部「いかに「西洋」をつくったか」
キリスト教がなぜ世界最大の宗教人口を誇ったのか、そこには国家宗教と言う考え方があったのだが、そうなった地域の多くは西洋諸国だった。特にローマを中心としたカトリックの存在は古代から中世におけるヨーロッパの中心をなしていた。最もその当時の歴代ローマ教皇は政治と深い関係があり、政治的・宗教的な要因によって「対立教皇」なるものも存在した。またキリスト教としての定義も時代とともに変化しつつあるのだが、その変化は「公会議」と呼ばれるものが行われている。最近のものとして第二次世界大戦後間もない時に行われた「第2バチカン公会議」が有名である。

キリスト教と言っても宗派の違いもあるのだが、そもそもほかの宗教との違いはどこにあるのか、他宗教との比較もあれば、キリスト教と哲学の関連性はどこにあるのか、さらには無神論者の定義についても本章にて取り上げられているため、西洋とキリスト教の関係ばかりが取り上げられているわけではない。

冒頭にて書き忘れたのだが、世界で最も多く売り上げられた本と言うと「新約聖書」である。その聖書は宗教活動のみならず、普段の生活から、さらにはビジネスに至るまで様々な所で役立てられている。しかしその聖書をはじめとしたキリスト教はどのような宗教であるのか、宗派も含めてなかなか複雑なものである。もちろん本書の対談の中で取り上げたものも氷山の一角に過ぎないのだが、それでも私たちの知るよしのなかった「キリスト教」を垣間見ることができる。