ファミリー・レス

「○○レス」という言葉をよく聞くのだが、家族の存在が無くなると言った「ファミリー・レス」を取り上げている。家族との憩いの時間が無くなる、あるいは家族の団らんや会話のないようないわゆる「仮面家族」のような印象を持ってしまった。

しかし本書は家族と言うよりは「偽りの家族」と言った方が正しいのかも知れない。というのは夫婦や血縁関係の親子ではなく、単純に親子くらいの年の離れた他人、あるいはよくいる夫婦と同じような年代と同居すると言うようなものかと思いきや、れっきとした家族だが、2ヶ月に1回しか会わないと言うような、家族のていをなしていないような人々もおり、本当に「家族」と呼べるのか疑わしいような人々の集まりを描いている。

しかしその中には、私たちの知らない「家族」のあり方が映し出されており、家族の距離感とはいったい何なのかを考えさせられる。それでいながら心が揺さぶられる感じがしてならなかった。