介護離職しない、させない

「家族のために、介護のために時間を割くために会社を辞めるしかない」ということをニュースなどで聞くことがある。本当の話かと疑ってしまったが、なんと事実なのだという。そのような状況がなぜ起こったのか、そしてそうさせないためにはどうしたらよいのか、そのことについて取り上げているのが本書である。

第1章「私はこうして介護離職してしまった!」
介護は膨大な時間と労力を要する。それが引き金となって会社を辞める人もいるという。その理由として介護のために「職場に迷惑をかけたくない」「私が辞めると丸く収める」というような理由から離職をしてしまうのだという。しかしいざ離職をして介護に専念するとかえって逆効果を生んでしまったのだという。

第2章「介護離職が生み出すゆがみと厳しい現実」
その介護離職が出てくることによって労働者も減少する。高齢者社会からあまつさえ労働人口も減少の一途をたどっているにも関わらず、介護の影響からそれが拍車をかけてしまっている現実が存在する。そのことと再就職や転職が予想以上に難しい現実について指摘している。

第3章「介護離職しない知恵と工夫があります」
では介護離職をしないためにはどうしたらよいか、それは「カミングアウトをする」ことを挙げている。もちろんこれは社会人の中でも「報連相」の中に入るのだが、プライベートで重要なことだったとしても必要になってくる。また介護で生まれたストレスも定期的に発散する必要があるが、その重要性も本章にて指摘している。

第4章「働く介護者は4つの環境に囲まれている」
介護をしていても仕事はできる。そういった「働く介護者」は複数の環境に囲まれて生きているのだが、どのような環境なのか、そしてその介護と仕事、さらにはプライベートと様々なことを良い方向へ向かうために何が必要なのか、そのことについて取り上げているのが本章である。

第5章「介護離職ゼロを実現するための働く環境づくり」
介護に関する話は介護者・被介護者だけの話ではない。企業もまたそれに目を向ける必要がある。ではどのようにして目を向けるべきなのか、そして何の対策が必要なのか、本章では企業として経営者としてどのようなことが必要なのかを説いている。

第6章「介護はあなたの人生の「新しいイベント」なのです」
介護は人生の中でも避けて通れない道の一つであるという。もちろんその介護を介護士にすべて任せる手段もあれば、家族で介護をするようなこともある。その両方を踏まえて、介護は一大イベントであり、なおかつ自分自身にとっても相手にとっても変化を起こすことができる。介護をしなければならないというピンチも考えられるのだが、それは反面、一種の変化できるチャンスにもなるのだという。

介護はこれからも認知され続け、そのことで苛まれる方も増えてくる。その方々に対して、介護と仕事をいかに両立できるか、そしてその環境づくりがいかに大切なのか、これは介護をする方々だけではなく、企業も支えていく必要がある。そのことを知らしめた一冊が本書である。