選ばれし壊れ屋たち

「壊れ屋」という言葉を初めて聞いた。それに近しい言葉とすると、政治家の小沢一郎の異名である「壊し屋」というのがある。

それはさておき、本書は新人作家がどのように新たな作品をつくっていくのかを描いた作品である。新人作家が通る道として次回作を描くために東奔西走、試行錯誤を行うような場面があるのだが、その試行錯誤の中で編集者から出された宿題がなんとも奇想天外なものである。新境地を開くためなのかもしれないが、実際にそれを実践するとなると、心が壊れてしまう。

そのことから「壊れ屋」と名付けられているのかもしれない。しかしその「壊れる」ことが自分自身の、そして自分の描く作品の成長につなげることができるようになっていったのだという。もちろん編集者の奇想天外な宿題を次々とこなしていくとともに、先輩や漫画家との交流によって様々な成長、そして破壊があったという。その壊れ方も何ともコメディのように見えてならなかった。