食と農でつなぐ――福島から

福島といったら5年前に起こった原発事故を機に、帰宅困難区域が続いているところがある。そのことから住まいだった福島から離れざるを得ないようなときもあった。しかし福島に戻った後でも絶望や迷走に覆われる日々が続いた。しかしその希望となる「食」や「農」をつなぐきっかけになるのが本書である。

第一章「手探りの三年間」
福島第一原発事故をきっかけに福島は一変した。農業にしても漁業にしても生産できていても、売る先が全く出てこないというようなことがあった。それを脱出するために、様々な試行錯誤を行ってきたというが、その一つとして福島県名産の「凍(し)み大根」について取り上げている。

第二章「遠のくふるさと、近づく決断のとき」
福島第一原発事故は5年経った今でも完全に終わったわけではない。今もなお故郷が遠のいているように思ってしまう方々は少なくない。暮らしの立て直し、そして帰還支援をしてもらうために国に対してどうしてほしいのか、そのことについて綴っている。

第三章「かーちゃんたちの生きかた」
本章で取り上げているのが福島県の阿武隈地域のかーちゃんたちを取り上げている。その方々は「凍み大根」を通じて農業を盛んにするための起業をする、あるいは福島の農業を盛んにし、「食」と「農」をつなげるために何をしているのかを取り上げている。

第四章「「食」にこめるもの」
衣食住は人間が生きていくうえで最も重要な要素の3つである。そのうちの「食」は農業とともにつながっているのだが、福島県を離れていても、福島の「食」を提供している方もいる。本章ではその方々を取り上げている。

東日本大震災、そして福島第一原発事故から5年の月日は流れた。しかしそれらは完全に復興したわけではなく、今もなお復興が続いている状況にある。その最中今年の4月に熊本県を中心とした地震が連続して起こった。その地域でも復興が始まったばかりなのだが、本書で取り上げた方々は熊本の地震に対して何を思ったのか、そしてどのような支援をしたいのか聞いてみたいところである。