「表現の自由」入門

日本国憲法の第21条にて定められているものとして「表現の自由」がある。その自由はどのようにして担保するのか、そしてその表現の自由はどの範囲で保障されるか、そのことについて取り上げている。ちなみに本書は日本国憲法上での「表現の自由」ではなく、それが条文化された歴史も踏まえている。

第1章「表現の自由」
日本では冒頭にも書いたところで明文化されているが、アメリカでは「合衆国憲法」にて定められている。ほかにも国際的な部分では「世界人権宣言」の第19条にも表現の自由が定められている。しかし「自由」と定められていても、どこまで自由なのかはケースバイケースとしか言いようがない。

第2章「思想の自由市場?」
「自由」はどのようにして定義されているのか、本章ではジョン・スチュアート・ミルをはじめとした哲学者の議論、そしてナチスドイツ時代のホロコーストなどをもとに自由の定義を議論している。

第3章「感情を害する、害されること」
本章のタイトルを単純、それも実例で言うと「ヘイトスピーチ」がある。「表現の自由」や「言論の自由」があるとは言えど、それが公序良俗に反してしまうと、それは自由とは言わず、濫用というほかない。言論にしても表現にしても何をやっても許されるわけではない。しかしそれをはき違えている人も少なくないのも現状にある。

第4章「ポルノグラフティの検閲」
「表現の自由」における公序良俗に反する例はほかにもポルノグラフがある。日本でも「ろくでなし子」事件があり、それが表現の自由の線引きについて議論の口火をなった。そもそもポルノグラフティと表現の自由の線引きはどこにあるのか、そのことについて取り上げている。

第5章「インターネット時代の表現の自由」
表現の自由はインターネットでも議論されている。第3章で取り上げたヘイトスピーチはもちろんのこと、第4章で取り上げたポルノグラフティとも合わさって議論されるほかに、2ちゃんねるのような「匿名の投稿」といった議論が挙げられる。

本書はあくまでアメリカやイギリスをはじめとし英語圏における表現の自由がどのように議論されたのかを取り上げた。しかしそれらの議論を見てみると、日本でも共通している部分がある。本書はそのことを教えてくれる。