子どもと貧困の戦後史

「貧困」は長きにわたる歴史の中で自然に存在したことである。それは身分もあれば、災害や戦争といった大きなことから、ひょんなことで貧困に陥ってしまうような事例も存在する。その中でも本書は「子ども」にフォーカスを当てて、戦後間もない時から子どもはどのような貧困があったのか、そのことについて取り上げている。

第1章「社会調査データからみる子どもの貧困の戦後史」
子どもと貧困は戦後の歴史から見るとけっこう存在する。戦災孤児・浮浪児、進学不可、不登校や生活保護と言ったものが挙げられる。そういった長きにわたる歴史の中でなぜ子供は貧困に直面するのか家、本章ではそのことについて統計データとともに取り上げている。

第2章「焦土のなかの戦災孤児、浮浪児問題―「親を亡くした子ども」をめぐる「社会現象」の変遷をめぐって」
戦後間もない時に戦災孤児や浮浪児になった子供は少なくない。その子供たちがどのようなことになったのかというと「餓死」などの「飢え」による部分が多かったのだという。しかもそのような子どもたちが走ることとして挙げられるものは親探しもあれば、犯罪化するようなこともあったのだという。

第3章「家庭のなかの子どもからみた学校と戦争―1952~58年」
「もはや『戦後』ではない」という言葉は1956年(昭和31年)7月に発表された経済白書にて出てきたものである。これから高度経済成長に差し掛かり始めるときに、子どもたちの貧困はどのような変化を遂げていったのか、学校の長期欠席や生活保護と言ったものとともに取り上げられている。

第4章「貧困からの脱却と子どもの高校進学」
今となっては多くの子どもが大学へ進学するようになり、大学が飽和状態にあるのだが、高度経済成長の時代は、大学はおろか高校ですら進学できない子どももいたのだという。そのような中で、神奈川県では「民生基礎調査」といった子供の貧困を統計する調査を行ったという。本章ではその結果も踏まえて子供の貧困について取り上げている。

第5章「大人と子どもが語る「貧困」と「子ども」―どのようにして経済問題が忘れられていったか」
貧困というと密接にかかわるものとして「経済」が挙げられる。その経済がいかにして変化を起こし、そしてそれが「子どもの貧困」に変化を生じてきたのか、そのことについて取り上げているのが本章である。

子どもの貧困は今に始まったことではなく、日本でも長い歴史の中であったのだという。もちろんそれは歴史の影の中で横たわっていたが、その姿を本書にて垣間見ることができる。