「偶然」の統計学

確率論でも「偶然」や「奇跡」と呼ばれるような概念はないわけではない。宝くじで連続大当たりをしたり、大会で連続ホールインワンを達成したりするなどもはや「奇跡」「偶然」と市か言えないような出来事は現実に起こっている。しかしそのようなことは統計学者・確率論者からするとこういったことは起こり得ることであるという。ではなぜそのように考えているのか、実例とともに取り上げているのが本書である。

1章「不可思議なこと」
本章で取り上げる「不可思議」、冒頭で取り上げている「偶然」「奇跡」はゼロに近い確率で起こり得ることが現実にあったことを表していることであり、全く持って信じがたいのだという。

2章「気まぐれな宇宙」
宇宙に限らず、世の中の森羅万象は「気まぐれ」というほかない。予想外のことが起こることは頻繁にあり、迷信や予言にあったことが起こるようなことがある。そのことから本章のタイトルのことを言っているのかもしれない。

3章「偶然とは何か?」
しかし確率的・統計的な「偶然」とはいったい何なのか疑問に思う。確率的にも低い組み合わせもあれば、その低い確率のものが連続して起こるような話もあるのだが、それが果たして「偶然」と言えるのかどうか、本章にて指摘している。

4章「不可避の法則」
こういった偶然は回避できるかというと必ずしもそうとは言えない。その不可避であることをどのように証明しているのか、本章では法則として取り上げている。

5章「超大数の法則」
「超大数」というと数学を勉強していない方にはなかなかとっつきにくい部分といえる。「超大数」は簡単に言うと、「膨大な数」のことを表しており、桁数もとてつもなく、いわゆる「天文学的な数」と表している。本章ではその数の法則について取り上げている。

6章「選択の法則」
人生において様々な「選択」があるという。その選択が偶然を呼ぶか呼ばないかで分かれる。その選択をすることに確率論・統計論としてどのような意味を成しえるのか、本章はそのことを取り上げている。

7章「確率てこの法則」
「確率てこ」は私自身も本書に出会うまで聞いたことがなかったのだが、そもそも「てこ」は物理学における「てこの法則」と同じように確率にも「てこ」が存在するという。そのてこはどこにあるのか、本章では「法則」にて取り上げている。

8章「近いは同じの法則」
数学に「近似値」と呼ばれる概念が存在する。その近似値が確立として使える部分があり、それが「近いは同じの法則」として表れている。

9章「人間の思考」
人間の思考として予測や予想、さらには推測なるものが存在する。その存在する思考は確率論としてどのような意味を成しえるのか、そのことについて取り上げている。

10章「生命、宇宙、その他もろもろ」
人間をはじめとした生物や宇宙などの森羅万象にも「偶然」は存在する。その「偶然」はそれらが成り立っている起源の一つとも言えるのだが、それがなぜ「偶然」なのかを本章にて言及している。

11章「ありえなさの原理の活かし方」
「ありえない」は「偶然」と同じように扱われている。そのありえない現象をどのようにして活かすかという活用法を本章にて伝授している。

偶然はどこにでもあるのだが、果たしてそれは確率的、あるは統計的な観点からそうなっているのかについて言及した本は読んだことがなかった。そういった意味では新鮮な一冊であったといえる。