二塁手論―現代野球で最も複雑で難しいポジション

野球における「二塁手」のポジションはどのようなものか私自身は漫画やテレビの知識でしかないのだが、文字通り「二塁を守る」だけでは成り立たない。ボールのパス出しなど守備の面で繊細さが要求され、なおかつ小回りの利く選手がそのポジションを務めている。しかもそういった選手というと攻撃の中では盗塁を行うこともあるという。本書の著者もセカンドのポジションで活躍した選手だが、その中で得た経験と考え方について取り上げたのが本書である。

第一章「「盗塁」という具体的な目標がすべてを変えた」
アマチュア時代は順風満帆で、その影響もあってプロの世界に踏み入れることができたのだが、そのプロの世界ではバッティングフォームを見失ってしまい、くすぶるようになった。その中でコーチになんでもいいからタイトルを取るように言われたことで、「盗塁王」を選び、それに向けて盗塁のテクニックを磨くようになった。

第二章「セカンドという選択が今の自分を作った」
その盗塁のテクニックを磨くことによって守備位置もセカンドにコンバートすることとなった。元々はショートのポジションだったのだが、セカンドにコンバートする際にも葛藤があったという。またショートとは違いセカンドは、冒頭にも書いた通り最も繊細なポジションと言われているのだが、そのポジションについたことによって今の自分をつくることができたという。

第三章「ホームランより価値のあるポテンヒットがある」
ホームランを打つ人の方がメディアとしてもかなり目立つのだが、ポテンヒットでも勝利の引き金になるようなことは何度もあった。もっとも著者はヒットを量産する以前に三振となることが多かった。しかし監督や周りの先輩の助言により、ヒットを打つことの良さに気付き、ヒットを量産するようにしたという。

第四章「メジャーで学んだ組織における行動理論」
著者は近鉄からダイエー(現:ソフトバンク)に移り、2005年にシカゴ・ホワイトソックスに入団。メジャーリーガーの仲間入りを果たした。そのメジャーリーガーとして活躍していく中で日本球界では得られない組織や行動についても学ぶことができたという。

第五章「成功の鍵は、一見地味で目立たない場所に隠されている」
成功は目立つところにもあれば、実は目立たない場所にもある。その中でも著者が着目したのが本章のタイトル通り、後者のことを言っている。その後者がなぜ成功の鍵となり得るのか、そのことについて取り上げている。

セカンドというポジションは繊細であるという話はテレビや本、漫画などで聞いたことがあるのだが、具体的にどのように繊細なのか、そして著者はどのようにしてこなしていったのかがよくわかる。もしもあなたが二塁手として悩んでいるのであればぜひ読んだ方が良いと思うし、ビジネスの立場でも繊細な立場にいる方であれば、本書は参考になる一冊になる。