ルポ 看護の質―患者の命は守られるのか

私自身ここ最近病院には行かないせいか、病院の現状についてあまり知ることがなかった。しかし本書で取り上げている病院では看護の質が落ちてきているという。

しかしこの質が落ちる原因は看護師だけの問題ではなく、そもそも患者が多くなってきたこと、そのことから、しっかりと看護のできる時間や質を担保できなくなったことも一因としてあるように見えるのだが、実際はどうなのだろうか、本書はルポルタージュとして取り上げている。

第一章「看護の質の劣化」

看護師が病棟にいなかったり、思うような看護がいなかったりするような場面が出てくるようになったのだという。これは看護師に限った話ではなく、医者についても同様のことが言え、特に僻地と呼ばれるところでは医師・看護師双方とも不足している状況にある。その中でも看護師の数・質双方から、なぜ「劣化」としているのか、そのことについて取り上げている。

第二章「姥捨て山の時代がやってきた」

第一章にて医師や看護師の不足について取り上げてきたのだが、その不足が「姥捨て山」の状態を作ってしまっている。しかし「姥捨て山」の状態にしているのはそれだけではなく、病院、さらにはそのなかの「病床数」も減少の一途をたどっている。本章ではその現状を綴っている。

第三章「真のチーム医療とは何か」

そもそも「良い看護」とは何なのだろうか疑ってしまう。もっともそれを定義したところで、現状叶うのだろうかという疑問も併せて持ってしまうのだが、その両方を叶えている事例が存在しているという。本章では真の医療を実行している事例をいくつか取り上げている。

第四章「あるべき看護の姿とは」

医療に関する政策について国が何もしていないかと言われるとそうではない。しかし政策自体は成功しているとはいいがたく、むしろ良い看護ができているか聞かれると首をかしげざるを得ないという。現状で医師や看護師を増やすことについて国や医療機関はどうなのか、そして本当の医療・看護のあり方はどうしたら良いのかそのことについて言及している。

医療現場は常に悲鳴を上げていると言っても過言ではない。そのような中で医療・看護とは一体何か、そして医療や看護がどのようにして改善していけば良いか、まずはその傾向を知る必要がある。その傾向を知るうえで本書はうってつけの一冊と言える。