考古学の挑戦――地中に問いかける歴史学

私自身散歩をしてみると「埋蔵発掘作業により~」というような注意書きをみることがある。結局のところ駐車場や建物を建てるための工事の前段階なのかもしれないが、そういった注意書きを見ると、まだ自分の街には歴史的なものがあるのかと思ってしまう。

本書はそういった話から少し離れるのだが、考古学者はどのようにして歴史的なものを探すのか、そしてそこにはどのような歴史が眠っているのか、そのことについて考古学者自らの観点から綴っている。

第1章「炭の粒で年代を測る」
年代を測るにはどうしているのかという疑問は、歴史的なものを掘り出されたニュースを見たときに沸いて出る。ただ以前「ギャラリーフェイク」という漫画を見たとき、本章の内容に関連して年代を測る機械を使ったエピソードを見たことがあるので、わずかながらであるが、覚えているのだが、その具体的な計測法まではわからないところが多い。本章では土器などを利用しての測り方も取り上げている。

第2章「森の資源とその利用」
本章では縄文時代における食事のあり方を取り上げている。この時代には狩猟が中心なのだが、そのほかにも木の実を利用したこともあった。その木の実を補完する際に利用したものについて縄文土器が挙げられる。

第3章「食べたものを明らかにする」
縄文時代にはどのような食生活を送っていたのか、その具体的な証拠もまた考古学の一環である。それを見つけるものとしてあるのが「痕跡」である。なぜ痕跡が必要なのかというと食べたときの「跡」もあれば食べた後の「骨」などがある。

第4章「石器が語る「使用履歴」」
その石器の使用履歴もまた考古学で読み取ることができる。その読み取るための方法を取り上げているのが本章である。

第5章「ミクロの痕跡から情報を読みとる」
掘り出したときのわずかな痕跡だけでも情報を読み取ることができるようになる。その読み取る情報にはどのようなものがあるのかを取り上げているのが本章である。

第6章「漆のふしぎとジャパン」
「漆」は重箱や器などに塗ることによって高級感を引き立たせるものであるが、その漆には様々な「不思議」が存在するという。その不思議さは日本独特なのであるが、なぜ独特なのか、そのことも含めて論じている。

第7章「貝輪作りと実験考古学」
「実験考古学」なる学問がある。その学問は実験を通じて考古学にまつわる様々なことを取り上げているが、その具体的な方法について「貝輪作り」を通じて考察を行っている。

考古学はなかなか奥が深い。フィールドワークはもちろんのこと、その中で新たな発見を目の当たりにすることもある。本書はその中でも縄文時代における考古学を取り上げてきたのだが、それは氷山の一角に過ぎない。しかしながら考古学の面白さは知ることのできる一冊と言える。