認知症―専門医が語る診断・治療・ケア

かつては「ボケ」「痴呆症」といわれたのだが、「差別」という批判を受け「認知症」に変化していった。その認知症は様々な形を変えつつ予備軍を含め、数多く罹患している人々がいるという。それをどのように予防すべきか、そして早期発見をし、治療・ケアに持っていくべきかを取り上げたのが本書である。

Ⅰ.「根治できない病気が多いのになぜ早期診断が必要なのか」
認知症に限らずガンなどの生活習慣病は予防が必要であると同時に「早期発見」も必要なことである。その必要なことをどのようにして行っていけば良いのか、本章、もとい本書は認知症にフォーカスを当てているが、その認知症にも「うつ病」や単なる「物忘れ」といった類似する症状が存在する。その類似しているものとどのようにして区別をつけているのかも含め取り上げている。

Ⅱ.「主な病気の診断・治療・ケア」
認知症にも様々な種類が存在する。本章では「血管性認知症」「アルツハイマー病」「レビー小体型認知症」「前頭側頭葉変性症」の4つを挙げている。脳の機能の低下によるのが認知症なのだが、原因によって認知症の言われ方が変わってくる。ちなみにアルツハイマー病については依然取り上げた「アルツハイマー病に克つ」が詳しい。

Ⅲ.「認知症治療のこれから」
認知症は一生付き合っていくべき病気なのか、それとも治療法があるのか、それらについては未だに不明なのだが、それでも治療やケアの方法は確立されている部分がある。その確立されている部分について、認知症治療のモデルケースも併せて取り上げている。

認知症は誰にでもなる病気であり、対策や予防は必要不可欠である。その必要不可欠なものは一体何か、病気はどのような傾向にあるのかそのことを知ることのできる一冊である。