盤上に散る

将棋、囲碁、チェス、バックギャモン…と「盤」と呼ばれるような所で戦っている人々は数多くいる。その盤上に己の技術・思考・プライドすべてを賭けて戦い、勝つものもいれば、負けるものもいる。その中で負けてしまうと本書の表紙にあるようにうなだれる、中には悔し涙を流すような人もいる。

ちなみにそれは競技における「プロ」やお金をかけない「アマチュア」問わずにある世界であり、もう一つの世界としてかつてあった「賭博」の世界は負けると何もかも失われ、悔し涙しか残らない残酷な世界があった。その世界に生きる人々を世間では「真剣師」と呼ばれた。

本書はその将棋でもって、お金も名誉もプライドも賭けたとある真剣師の戦いの姿を映し出している。その姿はまさに悲壮感を持っていながらも、勝負に対しては真剣に向き合いつつ、それでいながら勝負にかかわる駆け引きを強く求める男の姿があった。