戦地で生きる支えとなった115通の恋文

大東亜戦争の時代、その時に故郷と戦地とで通信できる手段として「手紙」があった。その手紙には家族、兄弟、親友、戦友、そして恋人へと宛てた手紙がある。その中でも本書は「恋文」と呼ばれる115通もの恋文を春夏秋冬に分けて紹介している。戦地のこと、家族・恋人の甘く、それでいて残酷で切ない文章が詰まっている。

第一章「冬―忘れられぬ夫様へ ひとりぼっちのしづより」
年末から3月にかけて書かれ、受けた手紙を取り上げている。その中でも父へのかんしゃの言葉、そして年始だけに新年のあいさつ、そして季節柄か家族への体調を気遣うような内容も散見された。

第二章「春―貴方はパパ様に、私はママになりました」
季節は春となり、出会いと別れの季節となった。もちろん「新年度」とだけあり、その季節の風景を伝え、それとともに官紀にまつわる通知も伝えられた手紙を取り上げている。

第三章「夏―お父ちゃん、早く元気なお顔でお見せください」
季節が流れていくにつれて戦地の環境は厳しさを増していった。その増していった話も綴られている。また手紙の中には戦地だけではなく、日本の政局などの話も盛り込まれている。戦地で戦っているだけにそういった話は戦っている方々にとっては貴重な話だったことが窺える。

第四章「秋―お父様が恋しくなってペンを走らせております」
季節は深まり、秋を迎えるようになった。その秋の中でも様々な出来事があり、戦地・プライベート双方での話を手紙にて送った。

本書は様々な兵士へと送られた手紙ではなく、「ミンタルの虎」と呼ばれた山田藤栄へ家族が送った手紙を115通取り上げられている。戦場だけあり、手紙にまつわる法律・条約もある中で70年の時を経ていまだに残っているのか、そして戦地と故郷とその双方はどのような様子だったのかをまざまざと知ることができる貴重な一冊である。

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