漱石、ジャムを舐める

夏目漱石といえば文学者で古き良き日本の芸を好み、食の嗜好もまた日本的なものが好きなイメージかと思ったら、食は意外にも牛鍋やケーキなどが好みだったのだという。本書のタイトルにあるジャムもおやつに舐めることが好きで医者にとめられるようなことがあっても止めなかったという逸話まで存在する。その知られるエピソードを食文化の歴史とともに取り上げているのが本書である。

第一部「作品にみる食文化史」
夏目漱石の食卓、いわゆる食生活の歴史は一体どのようなものだったのか、本章では自伝・文学作品など漱石が生み出した作品たちをもとに取り上げている。最も漱石の文学作品は漱石自身の思い出や趣味嗜好も表現に織り交ぜている。

第二部「食文化年表(慶応三年~大正五年)」
食文化は江戸時代から明治時代にかけて劇的な変化を遂げてきた。その劇的な変化はどのようなものがあるのか、本章では年表とともに取り上げている。

第三部「物価(明治~大正初期)」
物価もまた明治になってから歴史とともに変化を遂げてきた。その遂げてきた中でどのような変化があるのか、もちろん本章でも歴史とともに取り上げている。

本書のタイトルを見て思わず手に取ったのだが、そもそも漱石の食生活自体、冒頭のようなイメージしか持っていなかったために、興味があった。しかし洋食や甘味も好んで食べていたことを初めて知ったことが大きな収穫だった。