MBAで学ぶ 負けない戦略思考「ゲーム理論」入門

ゲーム理論は経済学の中でもよく使われるものだが、どのような理論なのかというと、

「2人以上のプレーヤーの意思決定を分析し、相手の動きを合理的に理解したうえで自ら取るべき戦略を決めていくというもの」(p.6より)

とある。経済学の他にもビジネスにおける戦略などでも使われるので、経済学に限ったことではないのだが、数学的に取り上げられる部分が多いことから数学にも分類できる。
そのゲーム理論をビジネスの場でどのようにして利用していけばよいのか、その方法を伝授しているのが本書である。

第1章「勝つ者の「戦略的思考」「戦略的行動」」
会社には様々な戦略を構築し、実行している。その実行している戦略を成功するかどうかは戦略の運営にもかかわっていくのだが、戦略における考え方・行動一つにしても勝者・敗者それぞれの「論理」があるという。本章では東芝・シャープなどを引き合いに出して取り上げている。

第2章「タダで成果を得る思考&相手のタダ乗りを許さない思考~ゲーム理論の「合理的な豚」とは?~」
タダ乗りというと良しとする人もいれば、良しとしない人がいる。もちろん前者はそれをする人、後者はそれをされるような人であるのだが、それもまた「ゲーム理論」でもって合理的に施行することができる。その方法を本章で伝授している。

第3章「ルールは自分に都合よく変えれば絶対に勝てる!~プレーしやすい状況を作る方法~」
「ルールは守るべきもの」という概念を捨て、ルールを変えることによって自分自身の都合の良いものに変えていけばよい。しかしどのようにして変えていけばよいのかわからない方も少なくない。本章では「ゲーム理論」でもってルールをどのようにして変えていけばよいかの方法を示している。

第4章「負けない戦略~リスクを管理する思考力~」
本章では主に「投資」の世界に置ける戦略を扱っている。なぜ投資の世界では「負けない」が重要なのかというと、勝つ可能性が高いのではなく「不確定」な部分が多く、なおかつ勝ち負けの線引きが難しいものがある。だからでこそこの世界では「負けない」ことが肝心となる。

第5章「勝つための正しい判断力」
ビジネスにおいて「勝つ」ために必要な要素は数多くあるのだが、その中でも戦略を構築する、行動することのほかに判断・決断も必要になってくる時がある。その判断力が求められるタイミングとはどのようなものか、そして決断をする要素とは何かを本章では取り上げている。

私自身も大学で意思決定における「ゲーム理論」を学んだことがある。しかしこのゲーム理論は数学における方程式が多く、数学が苦手な方にとっては難しいイメージがあったのだが、本書の「ゲーム理論」はそういった方程式が取り上げられることがほとんどなく、むしろゲーム理論はどのようにビジネスの場で使っていけば良いかにフォーカスを当てているために、数学が苦手な方でもすんなり読むことができる一冊である。