エンジョイ・アワー・フリータイム

本書は小説というよりも「戯曲」と呼ばれる一冊である。戯曲というとドラマや演劇の台本のように描かれていることが多いのだが、本書は演劇の中でも現在の日本の労働環境を映し出しているような作品である。どのような作品なのかというと派遣社員やファミレスのアルバイト、フリーターなど様々な人物であるが、いずれも「ゼロ世代」と呼ばれる、いわゆる「ロスジェネ(ロスト・ジェネレーション)」と呼ばれる世代が中心となって描いている。

ロスジェネ世代の哀愁もあり、格差の現実を知ることができ、なおかつ現実を面白おかしく描いている部分が多い。その部分が「痛快」と呼ばれるものがあり、現実も楽しむことができる錯覚に陥ることができるようになる。

もしも本書をもとにした演劇が出たら本当の意味で面白いような演劇になるのではないかと思う。本当に上映されるのであれば、自分の家から近いところならば観に行ってみたいものである。