abさんご


本書は第148回芥川賞を受賞した作品である。もっと言うと史上最高齢で芥川賞を受賞した作者であり、作品である。しかし本書は中編でありながら、小説のあり方を大きく覆すような一冊である。

何が覆しているのかというと、本書には人を指すような「固有名詞」が一切ない。しかももっと言うと途中までは横書きで左読みなのだが、最後の一篇だけは縦書きで右読みとなっている。そう考えると今まで小説を読んだ方々にとっては「何だこれは」と思ってしまうような違和感を持ってしまう。「実験小説」といえば聞こえはいいが、ある意味読者で遊んでいるような感覚もある。

その「遊ばれている」感覚は読者にとって愉快と思える人もいれば不快に感じる人もいることは否めないのだが、それをひっくるめて「斬新」な一冊と言っても過言ではない。

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