日本のデザイン――美意識がつくる未来

デザインというと彩や美と言ったものが求められる。しかもそういった要素は普遍的なものではなく、国によっても異なる。その中でも日本におけるデザインはどのようなものなのか、本書はよくある日本の風景や建物についてデザインの観点から考察を行っている。

1.「移動―デザインのプラットフォーム」
「移動」というと連想できるものとして「電車」「車」といった移動できる「乗り物」なるものがある。本章では主に「車」におけるデザインについて取り上げている。

2.「シンプルとエンプティ―美意識の系譜」
デザインの中でシンプルを大切にするものがある。しかし「エンプティ」とは直訳すると「空っぽ」であり、その「空っぽ」の中にある美とは何か、本章では「薬缶」などが中心に取り上げられている。

3.「家―住の洗練」
海外の目から見たら日本の家は「ウサギ小屋」ともいわれるのだが、その小さな佇まいの中で、日本人にしかできない空間を紡ぐことができる。その紡ぐ「空間」は海外の方々から見ると「洗練されている」という。なぜ洗練としているのだろうか、そのことを取り上げている。

4.「観光―文化の遺伝子」
日本観光は海外の方々の間で人気を集めているところも少なくない。日本における観光名所の中でも特に「日本らしい」デザインとは何か、それについて文化を観点に置きながら考察を行っている。

5.「未来素材―「こと」のデザインとして」
デザインは進化する。しかし「進化する」とひとえに言ってもどのようにして進化の道をたどっていくのか、その本質について説明している。

6.「成長点―未来社会のデザイン」
成長には様々なきっかけが存在する。そのきっかけとして挙げられるものが5年前に起こった「東日本大震災」である。この震災における復興がきっかけとなった事例を本章に手紹介している。

日本には日本で成長した独特なデザインが存在する。その存在するデザインがどのようにして進化を遂げてきたのか、そしてこれからはどのようになっていくのか、その過去・現在・未来を映し出す一冊と言える。