小川宏の心に残るいい話

「小川宏ショー」などで知られる名司会者であり、アナウンサーの小川宏氏が昨月29日にこの世を去った。90歳の大往生だった。その小川宏氏の足跡は長らくテレビの世界ではその名を知る人はいないほどだったという。その長いアナウンサー・司会者の生活の中でどのような交友関係を築き、なおかつエピソードを築き上げて行ったのかを綴ったのが本書である。

第1章「こだわり好きな人々」
こだわりは誰しも持っているかもしれないが時には無依(むえ:こだわりのない人)な人もいる。しかし何かしらのこだわりを持っている人はどこか特徴があるのかもしれない。本章では原辰徳やタモリの人物エピソードはもちろん、著者自身が見聞きした偉人たちの「こだわり」をと綴っている。

第2章「お医者さん、いつもお世話様」
著者自らがかかりつけた医者はどのような姿なのか、そしてどのようにかかりつけてくれたのか、もちろん著者自らのかかりつけのほかに交友関係のある医者、あるいは身内のかかりつけの医者も併せて取り上げている。

第3章「歌は世につれ、世は歌につれ」
歌の世界に生きる人々とも出会った。そういった人々を連想すると歌手のイメージが強いのだが、それだけではなく歌人や作曲家も含まれている。「小川宏ショー」で共演された方々も多く、歌にまつわるエピソードにも事欠かない。ちなみに本章で取り上げている人物には歌手・歌人・作曲家の他にも作家や漫画家の名前も挙がっている。

第4章「電波と活字に夢馳せて」
著者は1949年にNHKに入社し、アナウンサーとして16年間活躍した。NHK退社後はフリーとして冒頭にも述べた「小川宏ショー」を中心に活躍の幅を広げた。その広げた中でNHK時代の先輩・同僚・後輩に関するエピソード、小川宏ショーでのエピソードとして様々な人物を取り上げている。

第5章「昭和を歌い、演じ続けた人々」
昭和の時代には数多くの歌謡曲が世に出てきて人気を博したことは言うまでもない。しかしその歌・歌手たちとの交友は著者にとっての宝の一つとも言えるのかもしれない。昭和の時代を彩った歌手たちはどのような側面があったのか、それぞれの歌手の姿とエピソードを綴っている。

第6章「心温まる隣人たち」
著者の近しい人々がどのような姿で、どのようなエピソードがあったのか、そのことについて取り上げている。

人とのかかわりが多いとエピソードにも幅が出てくる。そのことを教えてくれるだけでなく、その多くの人々との出会いによって「小川宏」という一人の人物が作り上げていったのではないかとも言える。本書はそういったことを知ることのできる一冊である。

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