群れは意識をもつ

私自身群れることはあまり好きではない。それは個性を失うというのもあるが、それ以上に感情や考え方、個々のある価値が蹂躙され、人間ではなく、「組織」という名の中の一種の人形・ロボットと化してしまう危険性があるためである。

私事の話はさておき、人間に限らず、動物によっても「群れる」ことによって活動する種類も少なくない。しかしなぜ「動物」は群れるのか、そしてその「群れ」の中には本書のタイトルにあるように「意識」を持つのだろうか、そのことについて考察を行っている。

第1章「意識と群れ―モノとコトの未分化性」
集団化する動物は数多く存在するのだが、その中でも「ムクドリ」や「アリ」、「イヌ」などの動物を列挙しながら傾向を分析している。

第2章「動物の群れ―個体と視点におけるモノとコト」
動物の群れはどのような傾向があるのか、傾向を取り上げつつ、量・質双方の観点から考察を行っている。

第3章「ミナミコメツキガニの群れは痛みを感じているか」
「ミナミコメツキガニ」は沖縄の西表島に生息しているカニである。そのカニもまた集団行動でもって生息しているのだが、ミナミコメツキガニをロールモデルとして取り上げている。しかも本章ではもう一つあのグループがロールモデルとして取り上げられている。考察なのにある意味シュールに思えてならなかった。

第4章「群れによる時計・身体・計算機」
群れによりその集団における身体的・時間的などありとあらゆる要素がどのように変化をするのか、そのことを取り上げている。

第5章「群れの意識―条件から経験へ」
群れに行う意識はどのようにして醸成していくか、そのことについて取り上げている。

群れは人間に限らず、動物にも存在する。その動物がなぜ「群れる」のか、本書は生物学よりもむしろ、「行動学」の範疇で考察を行っているためとっつきにくい部分もある。最初を呼んでとっつきにくいと思ったら某グループのロールモデルから読み始めてみると良いだろう。