太郎とさくら

本書のタイトルの2人は実の姉弟である(異父姉弟)。元々姉は地元に住んでいたが間もなく結婚し、マンションに移ることになったのだが、その弟が東京から帰ってくることになった。その結婚までのプロセスと、結婚式を挙げるまでのプロセスの中で出てくるドタバタ劇は家族や姉弟、さらには友情や愛情などが入り交じった暖かさがある。

ドタバタ劇の中には人間臭さも存在しており、それぞれの人物の価値観や考え方、さらにそこから芽生える感情がホームドラマを引き立たせる要素となる。

しかもそのドタバタ劇を最も引き立たせるのが主人公である性格である。その性格は生真面目であるが、生真面目であるが故の「トンチンカン」な部分が強くあり、そのトンチンカンさが様々なトラブルを生み、ドタバタ感を生み、育てることとなるためである。しかしそれがとても小気味良く、笑い、時には涙しながら読むことのできる一冊と言える。