雇用身分社会


雇用形態における「身分」があるのだという。それは一体どのようなものかと考えていくと、最近では「正社員」「契約社員」「派遣」「アルバイト」「パート」「嘱託」など会社の従業員と一括りにしても多種多様な種類が存在するという。しかもその多種多様さが差別を生み出しているというが、その理由を本書にて指摘している。

第1章「戦前の雇用身分制」
「雇用身分」は戦前の頃から存在した。何かというと「職工」と呼ばれる工場で単純作業に勤しむ人々を表している。その人々の女性版である「女工」と呼ばれる人を描いた「女工哀史」が話題になることさえあったという。

第2章「派遣で戦前の働き方が復活」
派遣は戦後からも存在したのだが、話題となったのはここ最近のことである。その要因としては規制緩和もあれば、リーマンショックを発端とした「派遣切り」が続々とニュースに上げられたことにある。ただ本章を言うとそう思っている人もいるかもしれないが、「戦前」は言い過ぎかと思われる。

第3章「パートは差別された雇用の代名詞」
高度経済成長期に主婦が時間帯を限定して働きたいところからスーパーにて時間限定で働く、いわゆる「パートタイマー」と呼ばれる働き手が出てきた。その働き手にも苦しい事情があるのだという。

第4章「正社員の誕生と消滅」
正社員はずっと安定なのかというと実をいうとそうではない。現在では「正社員」の他にも、期間的に正社員の恩恵を受けることができる「契約社員」というものもある。もっとも「正社員」はどのようにして生まれたのか、その背景についても迫っている。

第5章「雇用身分社会と格差・貧困」
雇用身分社会は格差や貧困を生むという。もっとも「ワーキング・プア」と呼ぶように、働いても貧乏でいる人たちもいるのだから、労働の多様化が起因している部分もある。

第6章「政府は貧困の改善を怠った」
本章は政府への批判をしているのだが、最も官製かというと一概にも言えない部分もある。最も政府もあれば、財界などの経済界、もっと広く言うと社会システムがそうさせてしまっている部分もある。

雇用のスタイルは多様化しているのだが、その多様化に伴ってワーキング・プアや貧困、さらには格差を生み出したというとそういえるのかもしれない。しかしそれをすべてやめて正社員化することによって根本的な対策になるのかというと一概にもそう言えない。多様化するのだから、多様化に応じた対策を講じることもまた必要なことではないかと本書を読んで思った。

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