動物たちの3.11 被災地動物支援ドキュメンタリー

あの日から6年迎える。当時私は東京で働いていたのだが、その思い出は昨日のことのように覚えている。今日帰ることができるのか、なおかつ明日からいったいどうなるのかなど、いろいろと頭に駆け巡ったことはよく覚えている。当ブログでもほぼ毎年のようにあの日のことについて書いたのだが、本書は少し視点を変えて「動物」はあの日をどのように過ごしたのか、そのことを取り上げている。

1.「その日……」
岩手県石巻市、ある家族は犬を2頭、猫を1匹飼っていた。あの日の出来事が起こった時、犬や猫は亡くなったのもいれば、無事に生き延びたのもいた。あの日に遭う前、犬や猫が見せた行動とは何かもまた綴っている。

2.「さあ、動かねば」
あの日の翌日。昼からずっと続いた津波が少しずつ沈静化していったとき、想像もしえないような映像が人々の目を襲った。そのような状況の中で犬と猫を助けるプロセスを取り上げている。

3.「扉を開けてくれた人たち」
本章では1.や2.で取り上げた家族から離れて、先述の状況になった動物を買った家族の方々について描かれている。

4.「待ったなしの現実」
あの日の他にも東北地方を中心に断続的に余震が続いた。もっとも昨年4月に発生した熊本地震も1か月以上にわたって多くの余震に見舞われ、復興が遅れた。そのような状況の中で救助や避難など、本章のタイトルのごとく「待ったなし」の状態が続いた。

5.「被災をくぐり抜けた命と抜け出せなかった命」
本章のタイトルは人間でも動物でも例外なくある。運よく救助された動物もいれば、津波や地震など、さらには救助の遅れなどにより命を落とした動物もいる。その両端のエピソードを取り上げている。

6.「紙一重の命」
5.でも取り上げた命の他にも、運よく助けられても、生死の狭間にいるような状況に陥った動物もいた。その動物がいかにして乗り越えていったのか、そのエピソードを綴っている。

7.「なぜ動物なの?」
そもそも震災においてなぜ「動物」を取り上げたのか、そこには著者の立場もあるのだが、もっと言うと震災に関する本の中で人にフォーカスされている本がほとんどであったこともあるのかもしれない。

8.「助け舟と道標」
助け舟と呼ばれるような存在や、動物保護への道標になった、人物・事象を取り上げている。

9.「福島の動物たち」
福島県もまた地震に被災しているのだが、他にも福島第一原発事故が起こっており、避難をしており、今もなお続いている。動物たちはどのような状態なのか、そのことを映し出している。

10.「悲喜こもごも」
いなくなった動物を探し、見つけるといったことは続いた。ようやく復興の足音が見えた後で動物の救助・保護、そしてその家族のエピソードで本章のタイトルのようなことがあったという。

震災の思い出は動物にも存在する。6年の月日が流れて、その動物たちはどうなったのかは知らないのだが、動物の思い出とともに「震災」は今もなお残っているのかもしれない。そしてその動物の周囲にいる人間たちもまた同様なのかもしれない。