王様でたどるイギリス史

イギリスは「王朝」と呼ばれる歴史がある。そのイギリスの歴史では様々な王が生まれ、その王政の中で歴史が生まれていった。その王国と王様との変化はどのような関連性があるのか、本書は王朝、王の変化によって生まれた歴史について考察を行っている。

第1章「乱立する王国」
古代から中世にかけては様々な王国・帝国が生まれ、滅んだ経緯がある。そのことから「乱立」という言葉が最もしっくりくるものと言ってもおかしくない。もっとも乱立はなぜ起こったのか、その歴史的背景も併せて分析している。

第2章「フランス語を話す「帝国」の王たち」
本書はイギリスの中での王朝の歴史なのだが、隣国であるフランスとも関連性は少なからず存在する。王たちの歴史の中にもそのものがあり、本章のタイトルにあるようにフランス語で話した国王も存在するという。

第3章「法律・議会・立憲君主」
時代は中世に入るのだが、その歴史の中で近代的な議会や法律などの制度が築く礎となった出来事もあった。もちろんその中には「薔薇戦争」「百年戦争」をはじめとした戦争の歴史も横たわっている。

第4章「絶対主義の確立とルネサンス」
イギリスではエリザベス1世が誕生したときに生まれたのが「絶対王政」である。王室が最も高いところにあり、そこから階級社会が生まれるというようなものである。もっとも絶対王政はどのようにしてイギリスの貴族や平民たちに受け入れられたのか、その背景とともに取り上げている。

第5章「革命のもたらしたもの」
イギリスではピューリタン(清教徒)革命、名誉革命を経て現在ある共和制を敷くようになった。絶対王政の歪みが生じたことによるものが大きいと言われているのだが、他にもどのような要因があるのかを取り上げている。

第6章「大英帝国の建設」
やがてイギリスは世界の中でも「強国」と呼ばれる地位に立つこととなった。その地位の中で「大英帝国」と呼ばれるようになったのだが、文化・産業の先駆者となった時代とも言える。その時代の中でどのような活躍を経てきたのかを取り上げている。

第7章「メディアと伴走する大衆王」
最後は現在のイギリスである。2つの世界大戦とアイルランド問題、さらには福祉国家に向けての動きを取り上げている。

イギリスは「王朝」と呼ばれる時代が今もなお残っているのだが、実質的な民主主義でなおかつ王室は象徴として存在する。日本もそこによく似たところがあると言える。本書を読んでそう思った。