やみ窓

結婚して間もなく最愛の夫が亡くなってしまい、未亡人になってしまった女性がアルバイトで生計を立てているのだが、その女性が義母たちの罵倒をはじめとした様々な地獄を体験していくことになる。それはドロドロとした人間関係を織りなすものであり、なおかつその人間関係の「闇」が描いている。それは自分自身とその周囲に映る「鏡」、その鏡の元となるのがガラスであり、そのガラスは「窓」としても扱われる。本書のタイトルはそれを意味しているのかも知れない。

本書は人間関係の様々な「闇」が克明に描かれている。そのため中編集であるのだが、表題作を含め4作中3作は「やみ」がつけられている。主軸となるのが「闇(やみ)」と言えるからである。

本書はミステリー以上にホラーな感じが強いのだが、そのホラーは人間の中から出てくる「闇」の部分が如実に表している。その闇がホラーを醸し出しており、読んでいく内に背筋が凍る感覚に陥ってしまう。