流転の細胞


「万物は流転する」という言葉を思わず思い出してしまう。最もその言葉を出したのも古代ギリシャ時代の哲学者の一人であるヘラクレイトスである。もっともその「流転」は哲学のみならず、仏教の中にある「輪廻転生」にも通ずるものがあり、哲学はおろか、宗教にも根付いていると言っても過言ではない。

本書はその「流転」を医療ミステリーの観点から紐解いた一冊である。本書の表紙にもある通り「赤ちゃん」がカギとなる。そのカギとなる理由として、今から10年ほど前に話題となった「赤ちゃんポスト」を引き合いに出したミステリー作品である

しかもそのミステリーの主人公は新聞記者。赤ちゃんポストにまつわるスクープを狙ったのだが、実際に掘り当てたのはスクープ以上の奇怪な出来事だった。記者の周囲の人間を巻き込むほどの歪な描写は社会的な出来事の範疇を越えながらも今の社会に投げかける「問い」を出しているように思えてならなかった。

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