ガルブレイス――アメリカ資本主義との格闘

皆さまはジョン・ケネス・ガルブレイスを知っているだろうか。ちなみに私は本書に出会うまでは全くと言ってもいいほど知らなかった。それもそのはずで20世紀最大の「経済学の巨人」と言われていた人物だが、もっともガルブレイス自身が2メートルの身長のため「経済学の巨人(物理)」とも言えるためである。

しかし身体的に「巨人」なだけでなく、経済学としての功績を多く残してきたからでこそ「巨人」と言う名で畏敬の念を表していると言っても過言ではない。ガルブレイスはカナダ出身なのだが、主軸はアメリカであったことからアメリカの経済学者としての側面も持っていた。そのガルブレイスの足跡とは何か、人生と経済学の思想の両輪で取り上げている。

Ⅰ.「アメリカ 対立する二つの軸」
アメリカの経済学は二つの軸がある。一つはニューディール政策の根幹にあたる「ケインズ学派」、もう一つはレーガノミクスを代表する「自由主義学派」がある。その対立は民主党・共和党の二大政党政治のごとく長きにわたり対立することとなったのだが、その中でガルブレイスはどの立ち位置にいたのかも併せて取り上げている。

Ⅱ.「ガルブレイスの半生」
では、ガルブレイスはどのような人生を送ってきたのか、カナダで生まれ、アメリカを中心に経済学者として活躍した。その人生の中でフランクリン・ルーズヴェルトのニューディール政策を行うブレーンの一人として存在した。

Ⅲ.「ガルブレイスの経済学」
ガルブレイスの経済学はケインズ主義に似た部分もあるのだが、それも相まって自由主義論者の批判の的になることも度々ある。その影響もあったのかどうかは不明だが、逝去するまでノーベル経済学賞を受賞はおろか、ノミネートすらされていなかった。その理由を取り上げてはいないものの、ガルブレイスの経済思想の根幹はどこにあるのか、ガルブレイスの論文から取り上げている。

ガルブレイスの経済学は20世紀の中で読まれた一方で、経済学者の中でも最も批判にさらされた人物の一人として挙げられる。その要因とは何かを人生・功績などの観点から垣間見ることができる一冊と言える。