「共生保障」という言葉を初めて聞くのだが、簡単に言うと「社会保障政策」の新たな提案として、この「共生保障」がある。しかし今日の社会保障政策は少子高齢化もあるのだが、国の財政枯渇などもあり、なかなかそれができない状況にある。
本書はその社会保障の新たな対策として「共生保障」について提案しているが、その中身とともに現状の社会保障政策からどのような変化が生じるのかも併せて取り上げている。
第一章「制度はなぜ対応できないか」
社会の状況や国民の生活の変化に応じて法律などの制度・政策は変わることが必要になってくるのだが、その中でも社会保障は変化が激しい、そのために変化に対応できない部分もあるのだが、国と社会との乖離もまたその原因の一つとしてある。
第二章「共生保障とは何か」
そもそも「共生保障」とはいったい何か、そのことを取り上げているがこれは「国が支える」と言うよりも、国民も国もともに、あるいは国民同士でともに「支える」ことを主眼に置いている。
第三章「共生の場と支援の制度」
「共生」は国の支援もあるのだが、単純に「支援を受けたらよい」のではなく、お互いに支え合うように仕向ける必要がある。その仕向けるためにはどうしたら良いのかを取り上げているのが本章である。
第四章「社会保障改革のゆくえ」
社会保障改革は政府主体で行っているのだが、それが実態として変わっているのかと言うと変わって入るものの「悪い意味」で変わっているというほかないという。そのような中でどのように「共生保障」は役立つのか、そのメリットともに取り上げている。
第五章「共生という価値と政治」
これまで政府などでは「保障」や「支援」を中心に行われてきたのだが、そもそも日本人には「共生」の概念があった。その概念をどのようにして活かし、使っていくかがカギとなる。その一手段として「共生保障」があるという。
互いに支え合うことのできる概念、それは福祉国家と言うよりも、そもそも現在の日本らしさを活かしながら、社会保障を活かしていくという両方の「良さ」を活かすのに絶好の政策なのかもしれない。ただそれが現実にうまくいくのかどうか、現時点で実践されていないため未知数としか言いようがない。