重い障害を生きるということ

人によっては多かれ少なかれ障害を抱えている方がいる。その障害を乗り越えて第一線で活躍する人も少なくないのだが、通常よりも重いハンディを抱えてしまうリスクもある。その心身障害の中でも重度のものを抱えている方々がいるのだが、その方々がどのようにして乗り越え、あるいは乗り越えようとしているのか、本書はその重症心身障害児施設を設立に勤務する医師の観点で乗り越え方を取り上げている。

第1章「重い障害を生きる」
重い障害の方々がいる施設は数多くあるのだが、その中でも本章では「びわこ学園」と呼ばれる滋賀県草津市の施設を紹介している。その「びわこ学園」にて初めて訪れた著者が何を思ったのか、そのことを取り上げている。

第2章「どのような存在か」
障害を抱える子どもたちはどのような子どもたちなのか、身体に障害を抱えているのもさることながら、脳がない子どももいれば、感覚や関係など様々な部分で「障害」を抱える人たちを取り上げている。

第3章「重症心身障害児施設の誕生―とりくんできた人たちと社会―」
本章ではタイトルにある施設がいつ、どのようにして設立してきたのか、そしてどのような人物が関わってきたのか、第1章でも取り上げた「びわこ学園」のほかに「島田療育園」「秋津療育園」なども紹介している。

第4章「重い心身障害がある人の存在」
重い心身障害を抱えた方々は一生そのハンディを抱えながらも様々な面で活躍している。もっともそのような障害を抱えてきた方々がどのような人生をたどっていったのか、その過去と現在を取り上げている。

第5章「「いのち」が大切にされる社会へ」
ハンディを抱えていようが、抱えていない状態であろうが、「いのち」は重要である。その重要である「いのち」をどのようにして大切にしていくのか、著者自身の思いも綴っている。

バリアフリーという言葉がある。かつては段差をなくすといった物理的な概念が中心だったのだが、今となっては情報やキャリアなど形のないも含めて言われることがある。その概念は重い障害を抱えていても同じであるのだが、いずれにしても「生きる」ことへのバリアフリーがいかにして進めていくのか、その考える材料がここにある。