恐山―死者のいる場所

青森県の下北半島には有名な山がある。その名も「恐山」であり、「イタコ」が礼を呼び寄せる、あるいは死者のいる山であるようなイメージが強くある。もっとも恐山はどのような山なのか、どのようにして「死者」のイメージを結びつかせるようなこととなったのか、本書はそのことを取り上げている。

第一章「恐山夜話」
恐山は観光名所と言うよりも「死者の場所」として知られており、観光でも訪れるのかと言うとそういったイメージが持たれない。もっとも「恐山=イタコ」がなぜできたのか、そして恐山が「死者」と結び付けられる伝承とは何かそのことも併せて取り上げている。

第二章「永平寺から恐山へ」
永平寺(えいへいじ)は福井県にある曹洞宗の寺院であるのだが、著者はそこで修行生活を送り、2005年に恐山へと渡った。その修行生活の日々を綴っている。

第三章「死者への想いを預かる場所」
恐山は「死者の山」や「死者のいる場所」と言われるようになったのだが、その要因としてどのような体験を触れていったのか、そして恐山があることの意味とは一体何か、そのことを取り上げている。

第四章「弔いの意味」
弔うこととは一体何か、恐山を通じて得た「悟り」を通じて本質を突いている。もっとも「生」と「死」とは何かといった根本的なことにまで言及している。

恐山は富士山以上に不思議な山である。「生」と「死」をまざまざと感じ、死者との交信が行え、なおかつ仏教としての意味のある場所、恐山の存在意義は思っている以上に深いことが本書を通じて知ることができる。