亀と観覧車

奇怪なタイトルのように見えるのだが、観覧車は「夢」、亀は「現実」に見立てることができる。生活保護を受けている家族が高校生でありながら、働きながら高校に通っているとある女性が主人公である。その高校のクラスメイトから「クラブ」に誘われるが、その「クラブ」もまた「観覧車」に見立てているのではないかとも思ってしまう。

しかしそのクラブにはとある初老の男がいた。その男との出会いにより苦しい現実から一縷の「希望」が生まれた。その希望が亀のような速さでありながらも進んでいくことになる。

その希望が生まれた最中、とある事件に遭遇する。その事件により希望は混沌へと変わっていったのだが、その変わっていった混沌の中で女性はどのようなことを見出してきたのかが見ものとなっている。ミステリーでありながらも苦しみと希望を見出すことのできる物語だったように思えてならない。