モラルの起源――実験社会科学からの問い

モラルと言うと、人間にしかないように思えるのだが、他にも動物にも動物なりの「モラル」があるという。そもそも「モラル」と言っても道徳的な観点で良く語られるのだが、もっとも「道徳」を英語に直すと「moral」とある。そのモラルはどうして生まれたのか、そしてどのようにして社会に浸透してったのか、「実験社会科学」と呼ばれる観点から紐解いている。

第1章「「適応」する心」
人間が生き残るために様々な「適応」を行う必要がある。もっとも様々な変化が起こる中でどのようにして変化に適応していくのかが大きなカギとなる。

第2章「昆虫の社会性、ヒトの社会性」
では昆虫などの動物にはどのような対応が必要となるのか、ここでは「ヒト」と「昆虫」から見る「社会」のありかたについて問うている。

第3章「「利他性」を支える仕組み」
「利他」は他人の利益のためにどのようなことを起こしたらよいのか、自己啓発やビジネス書などでも見かけることがあるのだが、「利他」もまた道徳に置ける要素の一つである。その要素をいかにして行動をするのか、そのことを取り上げている。

第4章「「共感」する心」
「共感」はコミュニケーションの中でも重要な要素として存在するのだが、その存在する要素はどのようなものなのか、それについて論じている。

第5章「「正義」と「モラル」と私たち」
正義とモラルは必ずしもイコールではない。そのイコールではない要素は私たちにどのような影響をもたらすのか、その2つの要素を比較しながら考察を行っている。

「モラル」とひとえに言ってもいろいろな要素がある。その要素をいかにしてあぶりだしているのか、「起源」を基軸にして取り上げているのだが、それを基軸にした理由がよくわかる一冊と言える。