謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル)

「謎が謎を呼ぶ」と言うのはミステリ小説の常套句であるのだが、その常套句らしさを出しているのが本書と言える。本書は短編集であるのだが、他の短編集と異なる要素がある。それは「全編完全に自作ではない」ことにある。とどのつまりオリジナル小説もあれば、海外のミステリ短編を著者が翻訳したものも2編含まれている。

その海外ミステリもオリジナル作品に似せるようにし、なおかつミステリ好きにたまらない短編を取り上げているところに特徴がある。その特徴のある小説はまさに本書のタイトルにある「謎」を見事にフォーカスされており、なおかつ様式が異なる部分が多くあるので、ありとあらゆるミステリを楽しみたいというのであれば本書ほど最適な一冊はない。著者自身の特色もあるのだが、決してアクも強くなく、なおかつ「謎」も程よく掘り下げら得ているのもまた魅力的である。