まっぷたつの先生

「まっぷたつ」と言っても物理的にそうなったら怪奇小説であるのだが、本書はそうでなく、人格、あるいは時間軸的に「まっぷたつ」を表している。「時間軸的」というのが本書において最も重要な要素であり「現在」の自分と「過去」の自分それぞれを表している。その表している中でどのような交錯があったのかを描いている。

その交錯は人間における変化を表している一方で、ある年代を2つ取り上げつつ、ぞれぞれの境遇と過去と現在を描いているのもまた特徴の一つとして表している。

本書を読んだ感想としては「女性は人それぞれだ」と言うことを再認識するに過ぎなかった。もっともそれぞれのキャラクターの深掘りはしている一方で、そもそも本書のメッセージ性は一体何か、あるいはその交錯する世代だけを表すに過ぎないのかとも見て取れる。楽しめる一冊ではあるが、心にグッとくる一冊とは言えなかった。