日本とフランス 「官僚国家」の戦後史

常々日本は「官僚国家」ともいわれている。そもそも官僚が生まれたのは山縣有朋が政治の実権を握った時代からそのようになっている。もっともフランスにも形は違えど、日本に似ている官僚国家である。その官僚国家はいかにして形成づけられ、それぞれの国における官僚国家のあり方は何か、第二次世界大戦後の歴史とともに追っている。

第一章「戦後への「負の遺産」」
フランスではナチスドイツの侵攻を受け、なおかつレジスタンスからの解放があり、日本では大東亜戦争における展開が挙げられる。その中で方や戦争に勝利し、方や戦争に敗北した。その影響はいかにして受けたのかも併せて論じている。

第二章「イデオロギー対立の構造」
日本とフランスともに「イデオロギー対立」が戦後間もないころから起こっていた。日本における「保守・革新」「右翼・左翼」といったものの激突にあり、民主化運動やデモと言ったものが挙げられる。

第三章「「官僚国家」の高度経済成長」
高度経済成長は官僚主導で行われたのは日本・フランスに共通することにあるというのだが、その本質はいったいどこにあるのか、それぞれの国を見てみると様式が異なる。その異なる「様式」について追及しているのが本章である。

第四章「「民主化」から「自由化」へ」
民主主義として政治や国家体系を形成づけた一方で経済については「自由化」を行われるようになった。他にも「ネオ・リベラル(ネオリベ)」の思想も日本・フランスともに生まれ、根付いていった。

第五章「世紀転換期の展開」
世紀が変わってからも政治・経済・国家は変化を起こしてきた。政治改革から高度経済成長の終焉、バブル経済の隆盛と崩壊などが起こってきたのだが、その中でどのような出来事が起こったことも論じている。

第六章「二一世紀の政治構造の変化とポピュリズム」
21世紀になると、政治的な改革が進められ、それを推進するトップも生まれたフランスではニコラ・サルコジがおり、日本では小泉純一郎がいた。その2人が行った「改革」とは何かを取り上げている。

日本もフランスも「官僚国家」で共通しているのはあるのだが、本質を見てみると共通している部分と全く異なる部分が挙げられる。その両者はどのようなものか、深い次元で分析されているため、その分析の点がなかなかに面白かった。