劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方

今でこそ劇団四季はミュージカルを主とした劇団で全国各地に専用劇場が作られ、不動の人気を博している。その劇団は今から64年前に著者や今年の5月に逝去した日下武史ら慶応義塾大学の学生らが設立した。当時はミュージカルの認識は薄く、劇団自体もミュージカルを上演していなかった。劇団四季がミュージカルをやり始めたのは今から46年前の1971年、越路吹雪主演の「アプローズ」がヒットしたのをきっかけに次第にミュージカル劇団へと発展していった。

その創設者の一人である著者が、劇団四季がどのようにして俳優として、演劇のために呼吸・発声といった基礎的なトレーニングのほかにセリフの読み方に至るまでの方法をすべて明かしている。

第一章「日本語について―武器としての話し方」
日本語でセリフを話すことは非常に特徴的である。発音にしても話し方にしても特徴的であり、なおかつフレーズについても特徴的なものがある。もっともこれは演劇のみならず、日ごろの会話・メールなどのコミュニケーションのやり取りを行う際にも日本語ならではの重要な要素がある。

第二章「母音法―正しい発声のために」
日本語をはじめとしたありとあらゆる言語にしても「母音」「子音」がある。その中でも母音を意識することにより正しい発声方法を得ることができる。その得ることのできる発声の中で、日本語における「アイウエオ」がそれにあたる。

第三章「呼吸法―腹式呼吸と声の出し方」
セリフを言うにしても呼吸が必要である。その必要である呼吸にしても「腹式呼吸」がある。その腹式呼吸にしても声の出し方から姿勢についても伝授するとともに、呼吸を通じた健康法について取り上げている。

第四章「フレージング法―言葉はどこで切るべきか」
言葉を発するにもフレーズがどうしても必要になってくる。そのフレーズを作る際には劇団四季としてどのようなセリフを発したら良いのか、そのフレージングの方法を示している。

第五章「劇団四季の歴史―言葉に対する探究の積み重ね」
もっとも劇団四季は長い歴史の中でどのような演劇の要素を培い、そして果てしないロングラン公演をいくつも誕生していったのか、それは言葉に関する「探究」が根本にあるという。

今となってはテレビCMにしても公演にしても数多く行われており、日本を代表するミュージカル劇団として挙げられる「劇団四季」は今もなお演劇界の最前線を走り続けていくのだが、その真髄が本書にある。