アシタノユキカタ

「母を訪ねて三千里」という作品がある。本書はその作品に少し似ている部分があった。先述の作品は母を追いかけて遠い国へと自ら旅をした。一方本書の場合は「母を探して」と言う部分で共通するところであるのだが、主体となって動いているのはその母の恩師であり、なおかつ一人ではなく、探している母の娘も一緒に連れてのこと。しかも国跨ぎでなく、地方をまたいで探しに出かけるというものにある。

その旅の中で知ることとなった「大人の事情」や親子、さらには、恩師と生徒との関係など、様々な要素が巡り巡って長い旅を彩る。

様々な困難はあるものの、全体的にダークな展開と言うよりもむしろ、ハートフルな展開になることが多く、親子、先生と生徒、そして人間関係の良さを見出すことのできる一冊と言える。人間関係に悩みなどネガティブな感情を持ってしまったときにぜひとも読んでみたい一冊と言える。