「写楽」問題は終わっていない

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江戸時代を代表する絵の一つとして「浮世絵」がある。その浮世絵を描いた人物として代表的な人として「東洲斎 写楽(とうしゅうさい しゃらく、どうじゅうさい しゃらくとも読む)」がいる。しかしその写楽は生没年不詳であり、どのような人物なのか全くと言ってもいいほど謎に包まれている。この写楽の存在は今日まで議論の的となっていったが、現在でこそ斎藤十郎兵衛(さいとう じゅうろべえ)が有力とされているのだが、本書はそれを蒸し返し、「写楽」は「葛飾北斎」であると主張している。

第一章「消された「写楽=北斎」説―東京国立博物館「写楽」展の謎」
写楽の絵は江戸時代における浮世絵を続々と生み出したと言っても過言ではない。しかしもう一人の人物として葛飾北斎が挙げられるのだが、ともに浮世絵のタッチがほぼそっくりであることから一緒であるとしているのだが、その議論はいつの間にか消された。その理由を追っている。

第二章「新発見、写楽肉筆扇画面―なぜ、この作品が真蹟(しんせき)とされたのか」
「写楽=北斎」説の有力史料の一つであるのが、「肉筆扇画面」があるという。その画面はギリシャで発見されたのだという。なぜ新発見なのか、そしてその画面が写楽問題における議論にどのような影響を受けるのかそのことを取り上げている。

第三章「やはり「写楽は北斎」であるこれだけの理由―文献は語らず、その作品をして語らしむ」
「写楽=北斎」説の確固たる証拠があるのだという。文献と言うよりも、浮世絵の史料をはじめ、どのように写楽と北斎の絵がそっくりなのか、そして作品がなぜ「写楽=北斎」を物語っているのか、その論拠を説明している。

第四章「NHK「写楽」番組の欺瞞―なぜジャーナリズムは、学界におもねるのか」
本章で語っているのは2011年5月にNHKのBSプレミアムにて放送された「知られざる在外秘宝」という番組である。その番組は写楽問題を決めつけており、結論ありきで検証しているひどいものだったと本章でもって批判をしている。

そもそも「写楽」問題は完全に決まったわけでなく、有力な議論があるだけで、まだまだ議論の余地がある。その余地のある議論に一石を投じたとも言えるのだが、本書でもってどのように議論が深まっていくのか、定かではない。

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