商店街はいま必要なのか「日本型流通」の近現代史

商店街には様々な店が並ぶように見えているのだが、近年では地方の過疎化もあってか、「シャッター街」とも呼ばれるほど、閉店する店が並ぶようになり、寂れてきている。その一方で街おこしを行う所もあり、実際に成功したケースもある。

そこで考えるべきものとして「商店街」は必要なのかである。もっとも総合スーパーやショッピングセンター、さらには百貨店や通信販売などの形態も出てきているため商店街が必要ないように思えてしまう。そこで商店街の本質を見ながら、これからの商業はどうあるべきかを模索している。

第1章「百貨店――大都市の百貨店が変えたもの」
商店街も寂れてきているのだが、地方の百貨店も同時に寂れている。むしろ後者の方があまり認知されていないように思えてならない。私の生まれ育った北海道ではかつて、様々な百貨店が北海道中に点在していたのだが、最近では札幌あたりしかなく、それも1~2カ所しかないほどである。百貨店はなぜ存在しているのか、その歴史を取り上げている。

第2章「通信販売――戦前の婦人雑誌・百貨店通販の黄金時代」
電話の通信販売は衰えてきている一方で、ネットの通信販売は年々存在感が増しており、電話からネットにシフトしながらも安定的な存在にある。おそらく本書で出てくる形態の中で最も安定的に残るように見えているのだが、そもそも通信販売が誕生したのはアメリカの通信販売の文化が日本に伝わったことにある。

第3章「商店街――「商店街はさびれるのか?」を問い直す」
冒頭にも述べたとおり商店街は寂れており、そこから脱却するために模索をしている現状にある。もっとも商店街はいつ頃から誕生したのか、そして戦前・戦後と商店街はどのような変遷を辿っていったのか、そのことを取り上げている。

第4章「スーパー――「流通革命」と消費者の時代」
スーパーは安価な商品が売られ、なおかつ多彩な品物が揃っているイメージがある。スーパーとひとえに言っても食品スーパーはもちろん総合スーパーもある。近年でも安価・高級化問わず多様化しているスーパーはなぜ誕生したのか、そして今もなお変化し続けているのかの考察を行っている。

第5章「コンビニエンス・ストア――日本型コンビニと家族経営」
コンビニが誕生したのは1960年代末であり、そこから右肩上がりの如く成長し続けていった。近年では主要なコンビニが軒を連ねることもあり、文字通り「convenience(便利)」になっている現状にある。また災害時に「インフラ」としての役割を担うのだが、本章ではあくまで商業施設としての「コンビニ」のこれまでとこれからを明かしている。

商業施設は年々変化をしており、なおかつ業態も変わり、なおかつ潰れる店もある。もっとも小売店は細かいところで変化を行っており、その変化に乗じることが出来るのか、対応できるのかで大きく変わってくる。自然の摂理もまた「変化」が求められるのだが、それは小売店で会っても変わりない。そのことを気付くきっかけが本書とも言える。