アメリカを動かす『ホワイト・ワーキング・クラス』という人々 世界に吹き荒れるポピュリズムを支える”真・中間層”の実体

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株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。
日本では高度経済成長期には「一億総中流」と呼ばれる時代があった。国民たち多くの人びとが「中流」だという意識を持つことがある。アメリカでも現時点でそう言う中間層があったのだが、それが本書で表す「ホワイト・ワーキング・クラス」と呼ばれる方々である。

もっとも昨年のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが当選した背景にはそのワーキング・クラスの存在があったことにある。しかしなぜそのような方々が存在するのか、そして今後アメリカにおける政治・経済にどのような影響を与えるのか、そのことについて考察を行っている。

第1章「なぜ、階級の話をするのか?」
第二次世界大戦が終わるまでの先進国は「階級」と呼ばれる差別があった。日本でも「士農工商」と呼ばれるような身分や階級があったのだが、現実のアメリカでもワーキング・クラスなどの「階級」があったという。

第2章「ワーキング・クラスとは、どんな人々なのか?」
「ワーキング・クラス」は直訳すると「労働者階級」と言ってしまえばそれまでなのだが、本書では単純な労働者ではなく、貧困と富裕の間にある階級のことを表している。いわゆる日本で言うところの「中流」が本書で表す「ワーキング・クラス」である。

第3章「なぜ、ワーキング・クラスは貧困層に反感を抱くのか?」
10数年前から「格差」にまつわる話は日本でも多くあり、現在もなおある。しかしアメリカにおける「格差」は日本と比べものにならないくらい酷いものであり、各層に対する差別・反感があったのだが、その本質とは何かを取り上げている。

第4章「なぜ、ワーキングクラスは専門職には反感を抱き、富裕層を高く評価するのか?」
ワーキング・クラスが反感を持っているのは貧困層だけではない、労働者の中でも「専門職」と呼ばれる職業に対してもまた反感を持っているという。その要因は富裕層と労働層の対立の部分にも共通しているという。

第5章「なぜ、ワーキング・クラスは仕事がある場所に引っ越さないのか?」
これは日本に共通する部分があるのかも知れない。日本でも住宅のある場所から首都圏であれば電車を中心に、地方でもバス・電車などを利用して移動して出勤するケースが非常に多い。それはアメリカでもマイカー・電車など交通機関を利用して自宅から大きく離れたオフィスに移動するという。

第6章「なぜ、ワーキング・クラスは大学に行こうとしないのか?」
アメリカの大学は入学はしやすいのだが、卒業はしにくいところとして知られる。もちろん学費もかかるのだが、日本では当たり前のように大学へ進学する。しかしながらアメリカはむしろワーキング・クラスは大学に行こうとしないという。

第7章「なぜ、ワーキング・クラスは子供の教育に熱心に取り組まないのか?」
教育に対して熱心な家庭もあれば、むしろ放任にするような家庭もある。日本ではどうなっているのかは分からないのだが、アメリカでは層によって大きく分かれており、特にワーキング・クラスでは熱心ではないという。自発的に成長すると言うのが根本としてあるというからである。

第8章「ワーキング・クラスは人種差別者なのか?」
ドナルド・トランプへの支持と言うことを考えるとKKK(クー・クラックス・クラン)のような白人至上主義者であり、人種差別者なのかというと、差別主義ではないのだが、人種差別と関わっているのかというと本書のタイトルにある「ホワイト」と冠することもあり、差別に深く関わっている。

第9章「ワーキング・クラスは性差別者なのか?」
差別は人種だけではなく、性差別もワーキング・クラスには深く関わっている。それは選挙戦でもヒラリー・クリントンに対するネガティブ・キャンペーンにもあったという。

第10章「ワーキング・クラスは、製造業の仕事が戻ってこないことを理解していないのか?」
「ワーキング・クラス」はホワイトカラー(頭脳労働者)を表しているのかというとそうではなく、いわゆる「ブルーカラー」とほど近い部分があるという。いわゆる製造業に属している人びとを表しているのだが、そもそも製造業はロボット化に伴い、働き口も減りつつあるのだが、現在のワーキング・クラスはそれに気付いているのかを疑問視している。

第11章「なぜ、ワーキング・クラスの男性は「ピンクカラー」の仕事に就こうとしないのか?」
ホワイトカラーとブルーカラーは書いての通りであるのだが、本章のタイトルにある「ピンクカラー」は何なのかと言うと「女性が多く占める職種」のことを表し、「保育士」「看護師」「CA」などを表している。日本では少しずつピンクカラーにて働く男性も出てきているのだが、アメリカはむしろワーキング・クラスを中心に忌避しているという。

第12章「なぜ、国からもっとも恩恵をうけているはずの人たちが、感謝しないのか?」
国に対する感謝は日本にとっても希薄なものであるのだが、それはアメリカのワーキング・クラスも同様であるという。なぜ感謝をしないのか、そこにはワーキング・クラスならではの理由があるという。

第13章「リベラル派はこれまでの重要な価値観や支持者を捨てることなく、ワーキング・クラスを受け入れることができるのか?」
共和党の中には「ネオリベ」と呼ばれる新しいリベラル派がいるのだが、その人たちはワーキング・クラスに対する理解があり、支持を受け入れることが出来るようになったという。

第14章「なぜ、民主党は共和党に比べて、ワーキング・クラスの扱いが下手なのか?」
共和党の強みとしてはワーキング・クラスの支持が得やすい一方で対立する民主党はなぜ下手なのか、そこには思想の違いはもちろんのこと政治や経済政策などが挙げられる。

ワーキング・クラスはアメリカでは当たり前のような存在であるのだが、その人たちがアメリカの政治を揺り動かしているというのが興味深かった。もっとも働く人びとというと「プロレタリアート」を主軸としているため支持しているのは「社会党」や「共産党」と言った思想なのかと思ったのだが、実際には現在のアメリカの与党なのだという事実である。

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